田んぼDAYS

実りの食卓〜最後の新米

モチモチしてて、普段食べてる玄米より、やっぱりおいしいね。いつも田んぼ帰りの作業着に「臭い臭い」を連発して顔をしかめていた彼女が、めずらしくホメてくれる。もちろん、悪い気はしない。たしかに心地よい歯ごたえと、胚芽のツブツブ感のアクセントが…

泥こんこ遊び

ふと手を止めて水面の左上を見ると、トノサマガエルが水面から両目だけを出して、あらぬ方向をじっと凝視している。微動だにしない。その脇を藍色のシオカラトンボが悠然と横切っていく。泰然としたカエルを少し脅かしてやろうかなと思う気持ちを抑えて、雑…

泥んこ遊びの報酬

雲ひとつない夕焼けに向かって京葉道路を都心方面に向かいながら、ベット・ミドラーの「男が女を愛する時」がカーラジオから流れて来た。田んぼ作業で程よく疲れた身体に、聴く者をなぎ倒すようなミドラーのボーカルが沁み渡る。オジさんたちの泥んこ遊びの…

5年目

程よい厚みのあるトロトロ層の上を、オタマジャクシが悠々と泳ぎ回っている。まだ生まれて間がないのか、どれも5ミリほどの頭のほうが、胴体より断然大きい。田んぼに近づいた僕の気配を察してか、ほぼ全身を横たえていた全長4センチほどのミミズが、頭部…

朝露のマジックアワー

午前5時半すぎには、静まり返る里山の林の向う側を少しずつ明るくしていた朝陽。それが林の間からゆっくりと昇り出すと、目の前の芥子(からし)色の稲穂たちが朝露を乱反射させて少しずつ黄金色を帯び、無音のオーケストラみたいに辺り一面が一斉に輝きは…