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ちっぽけなこと

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両足の親指と人指し指に、重心がしっかりと乗っている。 走り出して15分ぐらい過ぎて、いつもの川沿いのコースに出てから、そのことに気づいた。先の水曜日のこと。もう7年近く走ってきたが、この感覚は初めてで素直にうれしかった。 6月に100キロを…

2年越しの夢〜柴又100km(1)

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先週土曜日の午後8時すぎ。河川敷の舗装道路を揺れながら照らす自分のヘッドライトの視界に、「99km」の表示が見えた瞬間、緊張がふいにゆるんで涙腺が熱くなった。 レースの制限時間は14時間で、午前7時15分にスタートしていたから、まだ1時間以上あっ…

柔らかな膝

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「以前と違って膝の使い方がとても柔らかくなって、上体の力をうまく逃がしている」 ネットを見ていたら、マリナーズの岩隈投手のコメントに目が留った。元同僚でヤンキースの田中投手の投球フォームの変化について彼が語ったもの。以前はもっと勢いよく左足…

ウルトラの賜物〜柴又60km走(2)

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51キロ過ぎだった。給水所で冷水をかけたせいか両方の大腿筋の張りが消え、意識が妙にクリアになり、周りの風景がよりくっきりと目に映った。そのとき骨と皮と前進する意志だけに削ぎ落とされた自分をはっきりと感じた。ゴール目前でにわかに元気になるの…

カメのように前へ ~ 柴又60Km走

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ちょうど49キロすぎだった。前を走る男性の背中のゼッケンに書かれたメッセージが目に入った。 「初ウルトラ挑戦。自分には負けたくない。距離にも負けたくありません。そして感謝!62歳」 白髪頭には不似合いなほどがっしりした体躯に、日焼けした太い…

ドM魂〜人生初の50キロ走

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走り終わって芝生の松の木陰に寝っころがると、裸足から両ふくらはぎにかけて血管がどくどくと波打っているように見えた。我ながらちょっと気味悪かった。それでも5月の涼しい風は、北の丸公園の水道水を頭から浴びた頭や顔をひんやりと撫でてくれる。しば…

おじいちゃんの背中

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やだぁ〜、なんかおじいちゃんみたい。6時間走を終えて帰宅したぼくの背中を見て、奥さんがそうポツリ。彼女にうながされるままに洗面所の鏡で背中を見ると、ちょうど背骨を軸に「ハ」の字型が縦に3つ並んで、ふやけたように皮膚が垂れ下がっていた。 ほら…

自分という殻〜夜久弘著『決定版!!100km・ウルトラマラソン』

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先の板橋から9日目、鼻風邪もようやく収まり、桜が満開の下を70分間走。走り出して身体がほぐれてくると、花見客を尻目に、適度な発汗とともに身体がゆっくりと目覚め、稼働していく感覚がやっぱり心地いい。 自分のちっぽけさを相対化する方法はいくつも…

屈辱的〜板橋リバーサイドマラソン

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25キロ以降、汗をかかなくなってラッキーと思ったら、しばらくすると身体が動かなくなった。初めて頭痛もしてきた。給水に失敗したと気づいたときにはもう手遅れだった。 前半、発汗量がいつもより多かったのに、10キロに一度のペースでしか給水をとらな…

大の字のあおぞら

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きれいに冬枯れした皇居外苑の芝生に汗まみれの身体でごろんと転がり、大の字になる。夕方前の少しくすんだあおぞらと向き合う。お腹の皮をできるだけ背中まで近づけて、深く呼吸をしている自分がいる。 そういえば2年前の夏、千葉県匝瑳の田んぼの脇で、炎…

カイドウと自己新と〜お台場30キロマラソン

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5キロ周回コースの片端、ちょうどレインボーブリッジ側にある、カイドウの木3本がその桃色の花びらを雨に濡らしていた。たしか、うちの近所では、まだサクランボみたいな蕾(つぼみ)のままだったはずだから、都心よりもお台場のほうが暖かいのか。ふいに…

国立競技場ラストラン〜新宿シティハーフマラソン

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神宮外苑の周回コースから国立競技場に入ると、観客席が目に入り、心なしか歓声も耳にしながら、薄いレンガ色のトラックをゴールに向かって全力で駆ける。この、ちょっぴりアスリート気分が味わえるのが最大の魅力。他のマラソン大会ではなかなか味わえない…

凡人ですが何か?〜お台場30キロ

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「凡人ですが何か?」 ぼくの目の前に現れた男性の黄色いTシャツの背中に黒字ゴシック体で書かれた言葉に、おもわず口角があがった。およそレース半分をすぎた16キロ地点辺り。レースではTシャツの背中の言葉をいろいろ見て来たが、一番のセンスだった。 特…

神様からのプレゼント〜 いたばしリバーサイドハーフマラソン

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「余裕ですね?」 明らかに失速しているのに、なぜか牧村三枝子の『みちづれ』を歌っている60年配ランナーに、そう声をかけた。17キロすぎ地点で一番辛いところだ。 「いやぁ、脚はもう動かないんだけどね、ほら、呼吸はぜんぜん大丈夫だからね」 彼はす…

大阪・堂島川ラン

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夕方、新大阪について淀屋橋のホテルにチェックイン。翌日からの取材行程を書き出し終えてから、数日前に買ったばかりのシューズで走り初めに出るが、ちょっと早すぎた。6時過ぎに御堂筋に出ると、退勤ラッシュの流れに巻き込まれてしまう。モノクロームの…

無駄遣い〜荒川30Kレース

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いのちが喜んでいるなぁ、出し抜けにそんな思いが身体のどこからか湧きあがってきた。どくんどくんと音を立てる心臓を、両手の平で鷲づかみにしている感じ。きっぱりと晴れ上がった空、少し熱いぐらいの日差しと、それをまばゆく乱反射させる荒川の川面を横…

スピードという花と経世済民

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これは3時間走れそうだなと、近くのスーパーに駆け込んだ。1時間半ほど走っても余裕があり、あと同じ時間走り切るには給水が必要だと思ったから。ランニングタイツに準備していた500円玉で、ポカリ500mlとチョコがコーティングされたビスケットを買…

上には上がいる〜いたばしリバーサイドハーフマラソン

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折り返し地点を回った後の17キロ過ぎ、ペースアップしながら走っていると、きれいなフォームで前を走る白髪の男性が目に留まった。背中を少し丸めて、上体を気持ち左に傾けながらだが上下動のない、つまりは無駄のない走り方。きれいに隆起したふくらはぎを…

見えない身体、見えない動き

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その店を出てから新たに買ったシューズの入ったケースとカバンを左手に持ちかえ、ぼくはそそくさと歩き出した。爪先に神経を集中し、頭の中では両足を「ハ」の字にするようなイメージで、テンポよく進む。だが、両肩は少し力んでしまい、背中もこころなしか…

チーター気分でGO!

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日曜日に90分走ったときには終始重たかった同じ身体とは思えない。その3日後の夕方走りに出ると、まるでチーターにでもなったような軽快さで身体が動いた。まっ、チーターにはせせら笑われるだろうけどね。 年齢をかさねて集中力や持続力が落ちていること…

かすみがうらマラソン〜忘れられないラスト7キロ

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奇跡や、奇跡や、奇跡やと心の中で叫びながら走った。 その喜びをエネルギーに換えて、もっともっと走りたかった。35キロからの約7キロをこんなに普通に走れたのは初めてで、まるで未知の疾走感だったから。いつもなら30キロ過ぎで乳酸がたまり、35キ…

青梅マラソンの快感

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雲ひとつない、きっぱりとした空を見据えて走る。 適度なアップダウンを脚で味わい、丘陵地帯の広々とした眺望を愛でながら、飛ばすな飛ばすなと自分に言い聞かせる。威勢のいい和太鼓のビート、公式のもの以外に、あちこちにできる善意の給水所、子供たちの…

青梅へ向けて

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走りだして2分もすれば、その日の身体が軽いか重いかがわかる。今日の夕方、風は冷たくて強かったが、身体はすこぶる軽かった。先の日曜日とはまるで他人の身体みたいだ。たぶん、前回90分走ったのが身体に効いているんだな。長い距離を走ると、その次に…

新緑とデスマスク

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五月の連休から梅雨までの間が、走るにはもっともいい時期かもしれない。多少初夏めいた暑さでも、風が涼やかだから、汗まみれになることはない。何より新緑の美しさを満喫しながら、マイペースで走る心地良さがいい。 連休前から、4日に一度のペースで一時…

快晴の新宿シティハーフマラソン

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聖地・国立競技場に入ると歓声につつまれた。赤いトラックの踏み心地はやわらか。前のランナーたちがスタンドに向かって手をふっていたので、自分もマネして余裕ありげな表情で両手をふってみた。第1コーナーから第2コーナーへ、前を走る選手たちを抜いて…

や、やっちまった

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早朝7時すぎ新宿発の小田急線急行列車にすわり、やにわに大会要項を取りだしたときだった。「午前8時までにエントリー受け付けは済ませてください」という一文が目に飛び込んできた。急行だと目的とする駅まで70分近くかかり、そこからバスでハーフマラ…

立川マスターズ(ハーフマラソン・昭和記念公園)

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ドドクンドドクンドドクンッ・・・・・・、仰向けに寝転ぶと、両方のふくらはぎから太腿にかけて、血液がいつにない、はげしいスピードで駆け巡っているのがよくわかる。秋の、少し高い青空を見上げながら、今、ふくらはぎの血管を切れば、噴水みたいな勢い…

奥武蔵トレイル17K―来年も出たい大会

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はぁはぁ、はぁはぁ、はぁはぁと息を弾ませて山道を走る。 前後のランナーと距離があるらしく、自分の吐息以外は何も聴こえない。森閑とした紅葉の奥武蔵をまるで独り占めしながら駆け抜ける。はぁはぁはぁはぁ、いのち息吹くような心地よき孤独。 はじめて…

丹沢大山トレイルツアー(神奈川)

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ひさびさに両太腿の筋肉痛。 フルマラソンを走った翌日のようだ。夕食前、近くのプールで1時間ほど身体を動かして、多少はマシになった。昨日、神奈川県大山を尾根伝いに、約20キロほど走るトレイルランニングの初級者向けツアーに参加した。 山をてくて…

都会人はなぜ走りたがるのか〜「日経ビジネスオンライン」

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米国NYで、裸足で走る人たちが増えている。裸足で走ることをはじめ、元始的な遊び方を楽しむ人たちは「新しい原始人」とよばれているらしい。「都会人はなぜ走りたがるのか」という表題のWEB記事。「新しい原始人」という言葉にピクンときた。 アメリカ人…