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ディープ大阪堪能②〜老舗・吉田バー(道頓堀2丁目)

鐘の音が印象的な「久乃屋」から、友人Sに連れて行かれたのが、「吉田バー」。 まるで小津映画に出てきそうなレトロな字体の看板、そして玄関。店内のショーケースは、いずれもウイスキーの小さなボトルがぎっしり。そしてカウンタ―に陣取るのは、60代以…

ディープ大阪堪能①〜すき焼き「久乃家」(道頓堀)

滋賀県草津市で2件の取材を終え、京都経由で、大阪道頓堀にたどり着いたのは、午後7時半すぎ。お目当ての「くいだおれ」前は、こんな感じ。写真左側にはさらに携帯片手の一群がいた。で、写真右側の食いだおれの店前も長蛇の列、列、列。えらい繁盛ぶりだ…

名代『おめん』(京都四条店)〜おもてなしのこころ

食事の最後に筍ご飯を頬張ると、両肩からすうっと力が抜けた。 旬の筍の甘みと、昆布だしのよく沁みたご飯。1枚添えられた鮮やかな緑の木の芽の辛味、ご飯に混ぜられた三つ葉のシャキシャキした食感。それらの絶妙なバランスに、思わず脱力させられた。野菜…

自分の声で 自分の唄を(3)〜ベルギーフレンチ「ambiance」(中目黒) 

先のバレンタインデー・ウィーク。日本テレビの朝のワイドショーに、中目黒「ambiance」のオーナーシェフ初登場!大平史人くんが、「ヨン様似のイケメンシェフ」の字幕つきで紹介(^^)。ベルギー仕込みのチョコレートをテーマにした、彼のディナーが取り…

大人の時間(1)京都「はれま」のチリメン山椒〜その芳香を味わえる年齢 

子供の頃、蓬(よもぎ)や茗荷(みょうが)が苦手だった。 京都府中部にあるオフクロの実家に行くと、茗荷と揚げの味噌汁がよく出てきた。しかも京都の汁物は薄味で、茗荷のあの苦辛さがよりダイレクトに舌を刺し、罰ゲームさながらだった。 たぶん、ぼくの…

中目黒「ambiance」〜ひと手間の分岐点 

目の前の素材に、どんなひと手間をかけてお客さんの前に差し出すのか。その「切り口」が問われるのは、料理も文章も同じ。そのひと手間に、作り手の力量とセンスが露になる。 土曜の夜、奥さんの友だちを誘い、3人で中目黒「ambiance」へ出かけた。テーブル…

大平史人オーナーシェフ「ambiance」(中目黒)〜『anan』『東京カレンダー』で続々紹介! 

右写真は、1月13日号『anan』の紹介記事。すげぇ〜、田町『ヌース』も載ったことないぞ。大平さん、おめでとう〜!「ぐるなび」にも料理写真をふくめた、くわしい紹介ページがあります。同「トピックス」欄から、さらに細かい情報に飛ぶことができます。 …

大福屋のつけ揚げとマイユのマスタード

残念ながら、鹿児島市内の郷土料理店「さつま路」にも「熊襲亭(くまそてい)」にも行けなかった。同市内での取材時間が遅かったせいで、夜10時前にタクシーで向かったが、すでに閉店していた。今回、唯一買って帰ったのが、大野屋のつけ揚げ(さつま揚げ…

愛宕神社内「Tてぃ」〜田崎真也さんが、東京産の食材中心にお店を手がける理由 

南ドイツとフランスでご一緒した、チーズ鑑評騎士のOさんに取材協力をお願いした。彼女がランチ取材の場所として選んだのが、愛宕神社内の「Tてぃ」。日本初のテレビ放送が行われたNHK記念館前の、愛宕神社境内にあるお店。 まず、ユリネのごま豆腐。東京…

ベルギーフレンチ料理『ambiance(アンビアンス)』〜大平史人オーナーシェフの出発 

レセプションへの招待状をいただき、昨夜、ささやかな花束をもって、中目黒『アンビアンス』の開店を祝ってきた。大平史人くんが開いた、ベルギーフレンチ料理のお店。大平くんはベルギー修行をへて、今は無き恵比寿ガーデンヒルズのタイユバン・ロブション…

男子、いざ厨房へ(5)アイ・ラブ手羽の八角煮〜絶妙の濃くをもたらす八角の存在感 

八角に魅惑されたのは、横浜中華街の菜香新館の牛のハチノス(内臓)煮だった。基本は醤油煮なのだが、そこに八角のテイストが加わることで、絶妙の濃くが生まれる。それがクセになる味なんだなぁ。 今回、その手羽の八角煮に挑んでみたってわけ。まず、醤油…

男子、いざ厨房へ(4)小松菜と厚揚げの煮びたし〜突然のDNA現象

「あんた、そっくりやなぁ」 昔、実家に戻った折、畳部屋で昼寝をしていたら、おふくろがそう呟いた。 えっ、どういうこと?思わず僕はそう聞き返す。 「胸の前に両手を当てて寝てる姿が、あんた、お父さんそっくりやんか」 30代を過ぎた頃だった。思いが…

男子、いざ厨房へ(3)サンマの梅干煮〜骨まで愛してほしかった

「骨まで〜 骨まで〜 骨まで愛してほしかった〜♪」 故・城卓矢の1966年のヒット曲「骨まで愛して」って、すごいタイトルだよな。えっ、知らない?当時3歳のぼくも知らないはずなんだけど、懐メロ番組で観て、そのサビの部分だけ覚えたにちがいない。詩…

男子、いざ厨房へ(2)〜カボチャのパッと煮で、あなたもデキルおやじ仲間?! 

プチ”独身”生活のリズムがだいぶ出てきた。 朝の体操も、以前どおりスムーズにできる。洗濯機を稼動しつつ、朝食をとり、食後に洗濯物を干し終えると、食後は軽く散歩に出て、帰りにス―パ―で買物して戻る。う〜ん、我ながらナイスな主夫生活ぶり。奥さんがい…

男子、いざ厨房へ(1)〜たたきキュウリの南蛮びたし 

永田野菜の創始者、永田照喜治さんのご自宅に取材でお邪魔したときのこと。美味しい野菜をたくさんご馳走になった。野菜を細かく刻んで酢飯の上にかけ、調味料は一切使わずに野菜の甘みや辛味だけで食べる五目ちらしとか。そこで生キュウリが出されたのだが…

夏の簡単スタミナ料理〜ゴマだれ豚しゃぶサラダ風 

昨日、奥さんから教わって夕食をつくった。簡単で、おいしくて、ボリューム満点の豚しゃぶサラダ風。材料は豚バラスライス350グラム、もやし1袋、水菜1袋。豚バラスライスを6、7センチ大に切り、片栗粉をまぶしてから、煮立ったお湯でしゃぶしゃぶ。…

神楽坂「ルバイヤート」〜歳を重ねることの幸せを感じた夜(2) 

歳を重ねることは醜悪なことが多い。 いつの間にか歯肉が落ちて見栄えが悪くなり、歯と歯の隙間にものが詰まるようになった。寝る前、歯磨き後の歯間ブラシはいまや欠かせない。オシッコの切れも悪い。物忘れもひどくなるばかりだ。 一方で、歳を重ねること…

神楽坂「ルバイヤート」〜歳を重ねる幸せを感じた夜(1) 

自分が好きな料理人が、自分たちのために作ってくれる料理を食べられる幸せ。それは、ぼくにとって歳を重ねることと、ひとつの出会いによって得られた幸せのひとつ。神楽坂「ルバイヤート」に出かけ、夫婦でOさんの料理を堪能した。ちょうど同町の阿波踊り…

大かまど飯「寅福」青山店〜佐藤さんとひさびさに再会 

先日紹介したカメラマンの佐藤哲郎さんと、青山で昼食。ひさしぶりに釜炊きのおいしいご飯が食べたくて、寅福青山店へ誘った。ここは昼時は混むので、11時半すぎに入店。ぼくはハンバーグ定食、佐藤さんはメンチカツ定食。当日のお惣菜は、きんぴらごぼうと…

築地・虎杖(いたどり)裏店〜脂ののった金目鯛と、やっぱりカレーうどん 

友人とひさびさに再会。築地・虎杖裏店に出かけた。海鮮ひつまぶしも、京野菜のおばんざいもなかったが、この日は何と言っても金目鯛の刺身。煮魚として食べることが多いから、あんなに脂がのっている金目は初めてで感激した。それと焼き芋焼酎の「やきいも…

インド料理「ボビさん」(新中野)〜人生で一番美味しいナン 

韓国で暮らしていた頃、ひとつの鉄則をつかんだ。「キムチが美味しい店は、他の料理もうまい」というヤツだ。キムチは韓国料理の基本であり、ソウルフード。しかも、それなりの原材料を使い、手間をかけなければ美味しくならない。うまいキムチには原価をケ…

愛知県豊橋市「ぎょうざ中(ちゅん)」探訪

「ああ、チュンぎょうざのある通り沿いね」 雨降る豊橋駅前から、取材場所に向かうタクシーの運転手の言葉に、思わず反応してしまった。 「えっ、そのぎょうざ屋さん、有名なんですか?」 「ええ、こっちでは皆さん、よく持ち帰りされてますよ」 そしたら取…

マンボウの刺身はホタテ味 

水族館でよく見る、妙に胴が短くて大きい魚マンボウ。あの刺身食べたことある人、きっと少ないでしょう。小田原辺りでは、たまにあがるので刺身で食べるらしい。小田原で知人を取材後、お宅に招かれて出されたのが、マンボウのお刺身。右上写真の右側白いの…

クセになる味(2)〜烏龍梅はなぜかプーアール茶と合う

右写真はウサギのウンコではありません。名前は烏龍梅、おそらく梅干を烏龍茶と砂糖で煮詰めたものだと思われます。横浜には一泊しなかったのだが、2日目の昼に中華街で見つけた。300円だった。基本的にドライフルーツは苦手なのだが、この徹底したルッ…

クセになる味(1)〜香辛料ハッカク(八角)

中華街の菜香新館のメニューで、ぼくが最も好きなのが牛モツのエスニックソースという飲茶メニュー。奥さんの話だと、このクセになる味の決め手は香辛料のハッカクらしい。中国原産の木の実でヒトデ型の八角形だから八角、割と芸のない名前。 だが、この夜頼…

ミニ忘年会〜湯豆腐・牛&豚しゃぶしゃぶ・讃岐石丸うどん

友だち二人を招いてミニ忘年会。一人が成城石井で高級ゆずぽんを購入してきたので、ゆずの香りいっぱいの湯豆腐と水菜でスタート。中間管理職として、困難な状況にあっても当事者意識を持って働いている友人たちに共感する。何事も他人のせいにしない、些細…

築地・寿司清〜暖冬の影響か、12月中旬でもカニも寒ブリもなしでショック!

知人をミニ忘年会で築地・寿司清新館へお連れした。 ところが、この時期にも関わらず、カニも寒ブリも未入荷。この時期はやっぱり築地の寿司でしょうと、大口叩いてお連れしたのに恥ずかしい。忘年会シーズンだからと不安を胸に向ったのだが、夕方6時という…

博多通信(最終回)・居酒屋へのへのもしじ

観光客は絶対行けない店だ。だって福岡・天神から電車に乗っていくんだもん。居酒屋「へのへのもしじ」は、東京でもじゅうぶん人気店になる。あの高級魚・関サバかと思うほど、鯖臭くなく、鮮度のせいか甘みさえ感じる鯖の刺身。焼きかますの甘み。栗じゃが…

とりかわ『粋恭』の「鶏皮」・「せせり」・「豚バラ」の強力クリーンナップ

話しながらぽろぽろと涙をこぼす彼女と向き合いながら、オッサンもぽろぽろともらい泣きしながら、メモを取る手は動かしつづけた。人が生と死の狭間で心をゆらし、夢や仕事を失ってもこの人のそばにいたいと切望する瞬間。そのありったけの想いは、聞く者の…

野生猪(いのしし)肉と塩分6g

猪肉の鍋料理を「牡丹鍋」と呼ぶ理由がよくわかった。そのセンスも悪くない。 自宅にお邪魔して取材を終えてから、ご主人の帰宅を待って、その牡丹鍋をいただいた。ご主人への贈り物らしく、なんでも野生猪を猟犬を放って捕まえ、医師である知人がナイフで首…