築地・虎杖(いたどり)裏店


 テレビなどに出るようになってから、ここも客層がガラリと変わった。
 以前は、お酒好きの中高年サラリ―マンが多かったが、近頃はOLの飲み会や、家族づれや20代カップルなんかも増えた。


 夏近しということで、鱧(はも)と水茄子の天ぷら。いずれも塩でいただく。どちらもほのかな甘みと瑞々しさで、思わず頬がゆるむ。
 つづいて、お目当ての本まぐろアゴ肉焼き。鶏なら首の後ろ側の筋肉せせり同様、普段もっとも使っている筋肉が身も締まっていて、適度に脂ものっていてうまい。フライパンで焦げ目がつくほど焼くのだけれど、この焦げ目が絶品。添えものの大根おろしとの相性もよし。
 しかも、かなり食べ勢があって、お腹もかなりふくらむ。鱧と水茄子でゆるんだ頬が、さらにびろ〜んと垂れてきた。


 最後は、定番の海鮮ひつまぶし。二膳目のウニリゾットめいた濃厚さと、三膳目の昆布だし湯とガリを加えたお茶漬けは、少々のウニの余韻とガリの辛味が口の中でからみあい、恍惚感をもたらす。
 

 ただ、お会計時に気付いたのだが、まぐろのアゴ肉が時価もので、前回の2倍!皆さんもご注意ください。ちょっと焦ったけど、奥さんといい時間が過ごせたからいいか。