山中俊治ディレクション『骨』展(21_21デザインサイト 8月30日まで)

rosa412009-06-29



 入口の階段下りたところに、ホッキョクグマの頭蓋骨のモノクロ拡大写真がドカ〜ンと展示されていた。まるでF1のフェラーリ、あるいは新幹線の運転手席周辺を真上から撮影したかのようで、いきなり圧倒された。極限の寒さの中で生存するために進化をかさねたであろうそれは、ぼくなんかも襲われたらひとたまりもないだろうなというほどに獰猛(どうもう)で勇壮、なおかつ美しい形状だった。


 あるいはハブの骨はまるでムカデの脚のように、背骨からニョキニョキ出ていて精巧なスプリングを思わせ、フンボルトペンギンのそれは意外と猛々(たけだけ)しくて、小さな恐竜めいていた。どれもシャープでかっこいい。


 ところが、だ。それらと比べると、英国人がエックス線で撮影した人間の骨格ときたら・・・・・・。
 まさに大きめのチンパンジーのようで、かっぎりなくダサイ。ひょっこりひょうたん島に出てくる木製人形にも見えて、眼をそむけたくなるほど三枚目な骨格だ。


 どんな美女も男前も、グラマラスボディもブサイク系も、すべてこの骨格。
 

 そう思うと、なんともいえない笑いが、お腹の脇辺りからこみあげてきた。この骨の上にさらに整形やら、寄せてあげてブラとか、ツケマツゲだ、日サロだなんだかんだとコラージュをほどこして、平然と街中を右往左往している人間という種は、なんておバカでグロテスクなことか!(つづく)