書店まわり

rosa412004-02-25

 今日は出版社の担当編集や営業マンと書店への挨拶回り。荒川龍著『「引きこもり」から「社会」へ』学陽書房ASIN:4313860150)のプロモーションだ。地味な本ゆえ、末永く、目立つ場所においてくださいとお願いするわけ。あんまり、著書自身は営業しないから、書店さんも気を使ってくれてプッシュしてくれる、と先輩から教えてもらったのがキッカケやねん。

まずは紀伊国屋書店4階の教育コーナーへ。書架前に平積みコーナーがあり、引きこもりの第一人者である、精神科医斉藤環(たまき)氏が推薦する<引きこもり本>特集が組まれていた。斉藤さんが紀伊国屋から新刊を出したせいか、それぞれの本に斉藤氏の手書きコメント付きだ。
 しかし、その斉藤氏から本の腰巻にコメントをいただいた僕の本は、そこにはない。トホホ。なんと書架の一番奥まった場所に、いちおう平積みしてあった。せやけど、できたら書架前の<引きこもり本>特集においてほしいなぁ。

「あのぉ、この本に出てくる男の子たち自身が、表紙の写真に写っててですね、たぶん、このテの本で本人たちが実名で登場して、しかも表紙に顔写真まで出てるのは、たぶん初めてだと思うんですよねぇ」
と名刺交換しながら、さりげなくアピールする僕。
「えっ、そうなんですか」とそのコーナーの女性担当者。
「腰巻に斉藤さんのコメントもいただいていますので、できれば前の<引きこもり本>特集の脇にでも置いていただければ嬉しいんですが…」と営業マンがたたみかける。
「はい、わかりました」と、実にすんなりOKが出た。えっ?意外とカンタンやん!これも“著者同行”効果かいな?
でも三月に入ると新入学シーズンで、書架前の平積みコーナーも変更するので二週間弱の命らしい。それでも書架奥よりは断然いい場所だからヨッシャ!

 つづいて池袋へ移動。まずは駅西口の西武百貨店とつながっているリブロ池袋店へ。ここでも教育のフロアへ向かうと、新刊の割と目立つ位置に5冊ほど平積みしてくれていた。しかも一般書の新刊コーナーにまで置かれている、水谷修著「夜回り先生」の隣だ。(追記。後日、知人が池袋リブロの地下の一般書の新刊コーナーでも見たと電話をくれた。リブロさん、ありがとさん)

「本人たちの顔写真が表紙だし、ちょっと注目してたんですよ」と30代前半風の男性担当者。えっ!中身を読んでくれてたんだ。本の登場人物が表紙に出ていることは、あとがきにしか書いていないから、少なくともあとがきは読んでくれて、彼は僕の本をお客さんにプッシュしてくれている。嬉しい!
「そんな爆発的に売れる本じゃないと思いますが、できるだけこの位置でよろしくお願いします」と頭を下げてきた。

 そのリブロから目と鼻の先にあるのがジュンク堂書店。実は僕、この書店に入るのは初めてでした。ごめんなさい。同書店は一階カウンターにしかレジがなく、お客さんはスーパーのよりは少し小ぶりなカゴに本を入れて、各階をめぐり、最後に一階で精算するスタイルらしい。全然知らんかったわ…。
 教育のフロアに上がり、書架に一冊だけ入ってるのを発見。えっ!平積みにもなってないんだ……(かなり落胆)。そこでフロアの20代後半風の女性担当者が来てくれたので、さっそく名刺交換。
「実は表紙に写ってる彼がですね、先日、最寄の本屋でこの本を買おうとして、すごくドキドキしたらしいんですよ。だって『引きこもり』というタイトルで、自分が写ってるから、書店員に気づかれたらどうしようか、とか考えたみたいでね。そしたら相手は何の動揺もなく、ごく普通のお客さんとして対応されて、本人はかなり拍子抜けしたみたいなんです」と満面の笑みで言う僕。
 すると彼女は期待通り、クスリと笑ってくれて、
「ああ、あのサッカーやってた彼ですね」とポツリ。
 ああ、彼女もこの本の三章は確実に読んでくれていた。K君がサッカーをやっていたことは、第三章の75ページにしか書かれていないからだ。嬉ぴぃ〜。
「この本は新刊コーナーにも置いてあります」と彼女。
 もう小走り状態で、新刊コーナーに行くと、お客さんと正対する格好で五冊(平積みではなく縦積み!?)、しかもちょうど大人の目線の位置に並べてくれている。あの『夜回り先生』の隣。二倍嬉しい!深く頭を下げお礼を言う。
 自分のデビュー本の背中を押してくれている書店員さんたちがいた。それが今回の営業での最大の収穫だ。しかも当然ながら、この日まで一面識もなかった人たちだ。僕は彼らにたまらなく親愛の情を感じた。一冊の本を通して彼らとつながっている。そう思うと、不覚にもオッサンは目頭が熱くなりかけたんやわ。嬉しいトホホ。