ドキュメンタリー映画『トントンギコギコ図工の時間』

rosa412004-03-18

 久しぶりに試写会に出かけた(実は16日火曜日午後)。写真家兼映画監督の本橋成一さんが応援している映画だ。東京・品川区のある公立小学校の、題名どおり、図工の時間を2年間近く追いかけて作品化した映画。 結論から言うと大満足。観る者の心に羽根をはやして、かつて図工の時間に熱中した自分を思い出させてくれる。一方、総合学習の影で、図工の時間がなくなってきているという事実すら僕は知らなかった。
何より、子供たちの生き生きした表情が素晴らしい。そして僕らが子供の頃は当たり前のように存在した授業が、今や映画になるほど希少価値のあるものになりつつある現実が切ない。
しかも映画に登場する表情を失った女の子や男の子の憔悴した表情の背後に、両親や社会システムの問題がはっきりと垣間見える。その苦味がこの映画の隠し味だと僕は思う。野中真理子監督の、語らせるものと語らせないもののバランス感覚が絶妙。さしづめ、小津安二郎監督の名作『生まれてはみたけれど』の現代版で、こういう映画こそ親子でぜひ観てほしい。ゴールデンウィークよりポレポレ東中野(東京都中野区)でロードショー公開予定。
http://www.mmjp.or.jp/pole2/zukounojikan.htm