網および柄タイツ"問題"

　気になっていることがある。女性の網タイツ、あるいは柄タイツ”問題”だ。
　街中で見かける、派手な網、もしくは柄タイツをはいている女性の多くが、あまり美人でも、かわいくもないことだ。網や柄タイツから連想するセクシーな女性もいない。どうも目鼻立ちのあいまいな女性が多いんだな、これが。これは何かある、と僕はにらんだ。
　そのとき、ひとつの光景が浮かんだ。１０年ほど前、編集者と行った新宿のキャバクラでの光景だ。区役所通りを職安通りへ向かう道すがらにある、割と大きな店だった。
　その店では、美人あるいは、それなりにかわいい子はきわめて肌の露出が少ない服を着ていた。一方、そのどちらでもない女性はやたらと、各自の肉体的特長をアピールしていた。たとえば足の長い人はミニスカートで、胸の大きな人は、極端に胸元が大きく開いた服でフェロモンをふりまいていた。
　そうか、これはあのキャバクラと同じで、容姿に自信のない女性たちが、セクシーな網および柄タイツで、その欠点を補おうとしているんだ。僕はそう結論づけた。
　今日の取材の移動中、編集者Yクンに、この疑問と僕なりの見解をぶつけてみた。すると彼は言った。
「確かに、美人が派手な柄タイツはいてるとちょっとクドイですしね。でも僕は別に誰がはいてても気になりませんよ。荒川さんの見解は、網タイツに対する荒川さんの期待値がかなり高いからじゃないですか。だから期待値に達しない女性が多くて、許せないんでしょう」
　えっ？僕は言葉を失った。いつもながら鋭い彼に、僕の深層心理をわしづかみにされた気分になった。マイッた。さしづめ、露出狂のおじさんが、いざ露出しようとしたら電車が駅について、ドアが開いてしまったときみたいな、なんともバツの悪い「えっ？」だった。そ、それは言えてるなぁと言って、僕は笑うしかなかった。
　だが、ウチの奥さんの見解は全然違った。彼女によると、「それは自分がイイ女だと勘違いしてる人たちが、自分ではすごく似合ってると思って網タイツはいてるんだよ。たぶん、自分の欠点を補うためじゃないよ」という。
　・・・面白い。この網および柄タイツ問題に、男女両方からドシドシご意見をお寄せ下さい。