「ここが自分の宝物」という考え方

rosa412004-05-02

 今日は日帰り取材で静岡へ。静岡駅前で、熊谷守一展の看板を見かける。東京開催時に見逃していたので、取材後にでも見て帰ろうと思っていたら、午後1時半頃始めた取材が終わったのは午後6時すぎ。もう美術鑑賞の余力も失せて新幹線ですぐ帰ってきた。
「サラリーマンを辞めたい、って言ってる人で本当に辞めた人は、ぼくの周りにはいませんね」と、今日話を聞いたBさんは言った。
彼は会社員でありながら、新たな挑戦を始めて約半年になる。
 Bさんの話を聞いて、2日前に食事をした井上さんのこんな言葉を思い出した。
「自分が今いる場所が、自分の宝物だと思えない人は、たぶんそれ以上成長できないと僕は思うんです。『自分が本来働くべき場所はここじゃない』と思っている人とかも、そうだと思いますね」
 井上さんはかつて大手コンビニの幹部候補生だったが退職、カナダ・モントリオールでのタイ焼き屋経営をへて帰国。今は横浜市にカフェ一軒と、銀座にカレー店一軒を経営している。
 かつて大手コンビニ会社の同僚たちとなら、あうんの呼吸で成立した会話も、お店の若いスタッフとの間だとなかなか通じない。同じことを何度も繰り返さないと、きちんと伝わらない。
 でも、そういう状況下で自分なりに創意工夫をこらして、現在のスタッフたちを情熱と責任感をもって働く集団に少しずつ変えていっている。その過程で、確実に自分自身も成長していると彼も実感できているという。そこは彼が自力で見つけ、作り上げようとする宝物だ。
 冒頭のBさんと井上さんの言葉は、くしくもつながっている。Bさんも、自分の宝物を見つけようと、本業以外にもうひとつの場所を求めた。
 そう考えると、自分が働く場所を、自分のライフステージの変化に合わせて適切に変えていけるかどうかは、とても大切な決断になる。あるいはライフステージを変えるために、自分が働く場所を変えてみる。もしくは、新たな場所をもうひとつ持ってみる。そんな考え方もありだなと思う。これは自営業者のぼくにも応用できそうだ。
 イチローや松井が大リーグを目指したのも、そこで自分の能力をいったん相対化して、自分の長所と短所と改めて向き合い、純粋にもっと成長したかったんだろうな。それができる人とできない人では、かなり人生はかなり違ったものになる。
 あるいは「自分が働く場所は、ここではないどこか」だと思っていたその場所でこそ、「自分の宝物」をふたたび見つけなおすか。
追記)
 ちょうど、糸井重里さんのダーリンコラムで、彼が『ほぼ日』を始めたころ、周囲の人から、「あの人、おかしくなっちゃったんじゃない」と噂されていたという話を引き合いに出して、こう書いている。

「おかしくなっちゃった」と
他人に思われるくらいのことでないと、
新しいことなんかできやしないのだと、
気づかせてもらえたのだ。

<おかしくなっちゃってた?>より引用
http://www.1101.com/darling_column/
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