ご馳走してくれるんだって

rosa412004-06-01

拙著で取り上げた元引きこもりのK君(23歳)から、一通のメールが今夜届いた。インターネット系のベンチャー企業で、彼が無給見習いを始めて半年間がすぎた。いよいよ今月から有給バイトに切り替わったという。
 プログラマー志望だった彼は今、その会社が新規に立ち上げるバーチャルwebサイトのプログラムを担当している。つまり先端技術担当なわけ。
 メールの最後に「今度ご馳走します」と書かれてあった。うれしい〜。そうか、おれ、23歳からご馳走されちゃうんだ。一度、うちの奥さんの手料理もわが家で食べてるから、奥さんと一緒におごってもらおうっと。
 そういえば、思い出す。昨年11月から今の会社で見習い修行を始めた彼は、年末にこんなメールをくれた。
「今ぼくがここにいることを助けてくれた人たちに、恩返ししたい気持ちでいっぱいです」
 おれはグッときた。一人の人生の岐路に、そういう形で関われたことが率直に嬉しくてたまらなかった。取材中はあまりにそっけない回答ばかりで、散々苦労した相手だったから、なおさらだった。しかし彼の無感動や無表情さは、その不安や劣等感を包み隠す鎧(よろい)みたいなものだった。取材の終わり頃、ようやくそれがわかった。
 そうかぁ、おごられちゃうんだぁ。やっぱ、高田馬場の「らーめん二郎」かなぁ。