「無農薬野菜=美味しい」という誤解

rosa412004-06-16

 何事も誤解はつきものだ。結婚や就職だって誤解から始まる。いや、誤解がないと始められない。待てよ、これ以上書くと、奥さんに口きいてもらえなくなりそうだから、話を本題の無農薬野菜にうつしたい。
 肥料と水を極力与えない永田農法の創始者、永田照喜治さんを取材した縁で、永田農法で栽培された生鮮品を扱うファーストリテーリング(あの「ユニクロ」の親会社)のインターネット直販「SKIP」を利用していた。一昨年11月のサービス開始直後からだ。しかし赤字続きで、先ごろ事業停止に追い込まれた。もちろん、味のない野菜もあり、美味しい野菜を維持する品質管理する難しさを、利用者であるぼくも痛感した。それでも、生のキャベツやホウレン草をそのままかじって、その甘みを感じさせてくれたのも「SKIP」の野菜たちだった。永田さんは無農薬野菜や有機野菜には批判的で、必要最小限の肥料と農薬は使っている。
 生野菜の甘みをいったん感じた舌は、もう我慢できなくなってしまう。そこで「SKIP」の事業停止後、わが家はふたつの無農薬野菜を試してみた。「らでぃっしゅぼーや」と「大地を守る会」の宅配サービスだ。
 まず、名前がかわいいので、最初に電話した「らでぃっしゅぼーや」は、無料でサンプル商品をお持ちするので、ぜひ試食してほしいととても熱心かつアグレッシブだった。トマトやホウレン草、イチゴなどを持ってきてくれた。しかし「SKIP」野菜のような甘みはどれも感じられなかった。農薬混入野菜のえぐみはないけれど、特に美味しくもない。食べ物はとても正直だ。
 次に「大地を守る会」を一ヶ月体験入会して、はや二週目だ。お米は美味しい。繊細で甘みもある、ササニシキ1・5キロは「おおっ!」と思った。しかし野菜にまたも味がない。えぐみもないけど、甘みもない。一度ボイルしたミニ・アスパラガスが美味しかったから、「これはイケるぞ!」と言ったら、「それは、スーパー『オオゼキ』のよ」と奥さん。・・・・・・重たい沈黙が流れた。
 残り2週間あるけれど、わが家の見通しは悲観的だ。無農薬野菜だから美味しいわけではない。こんなこと、業界関係者にとっては常識中の常識かもしれない。だとしたら、わが家もようやくそんなレベルまではたどりつきつつある。かな〜り切ないけれども。

らでぃっしゅぼーやhttp://www.radishbo-ya.co.jp/
「大地を守る会」http://www.daichi.or.jp/pc/index.html?banner_id=41