和田裕美さんインタヴュー〜相手と共振すること

rosa412004-06-21

 今や、ベストセラー作家になってしまった和田裕美さんから、単行本制作のためのインタヴューワーとして指名されて、ダイヤモンド社へ行ってきた。かつて日本ブリタニカで英会話教室などの営業で、世界ナンバー2の成績を残したことのある女性営業マンだ。ダイヤモンド社から出した1冊目が10万部間近で、同社から二冊目出版となったらしい。8月下旬発売予定とか。
 和田さんとは、『女性自身』の<シリーズ人間>という7Pの人物ルポの取材して以来のお付き合い。「和田を取材で泣かした唯一の男」という、全然ありがたくない”称号”までいただいている。別に、ぼくが彼女をいじめたわけではない。他界された彼女のお母さんについて、「これ以上、話させると私泣きますよ」と彼女にいわれながらも、「お願いします」と頭を下げた上で話をきかせてもらった。そのことから、彼女にそう呼ばれたり、他人にそう紹介されたりするようになった。それがきっかけで、今回、彼女から話の聞き手として指名された。
 彼女の営業スタイルはちょっと独特だ。これはすでに『女性自身』で文字になっているので書く。それは相手の前向きなベクトルを膨らませて契約にむすびつける、彼女流の表現だと「まず、相手のワクワク君になる」こと。
「実際には相手と向き合って座っているんだけど、イメージとしては相手の隣に並んで座っていて、その人の心の中のワクワク君になって、こうなったらワクワクするだろうなって、態度や言葉で本気で伝える」という。すると面白い現象がおきる。彼女が営業トークの最中に髪をさわると、相手も同じように髪をさわる。腕を組めば腕をくむ。まるで鏡と向き合っているかのように、同じ動作をくりかえすようになる。次第に彼女のワクワク感が相手にもうつり、相手もポジティブな気持ちになって契約がとれる。
 今日、彼女と話していて気づいたのだけれど、短時間で相手との距離感が縮まり、彼女自身、相手の痛い話や辛い話を聞くと、身体が痛んだり、たまらなく辛くなるという。この感覚は、取材者としてのぼくにもある。そんな相手と共振してしまう感覚がとても似ている。
 しかし、だ。営業マンとして相手と共振するのはいいかもしれないが、取材者としては、相手のスタンスに近づきすぎて客観性を失ってしまう危険性がある。それは時折指摘されるぼくの弱点、甘い取材になってしまう恐れがでてくる。ぼくの場合、強みが同時に弱みでもあるわけだ。さらにインタヴュー能力にくらべて、記事の構成力が低く、書くのも遅いのも課題。この辺に、10万部も近いベストセラー作家と、4000部の本がいまだ売れ残っているルポライターとの大きな溝がある。トホホ・・・
 いかん、和田さんのポジティブ営業術について書きながら、気がついたら、ぼくがどんどんネガティブになってきちまったぁ〜。

和田さん著書リスト 
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/search-handle-form/249-5779950-2080331