「どれだけできないか」と向き合う方法

rosa412004-07-07

 大学時代の友人から手紙がとどいた。その中にこんな一節があった。
「忙しくて、昼休み時間に走れなくなったので、最近は、就業後に着替え、デイパックに荷物を詰め込んで、自宅最寄駅から家まで多少遠回りして走るようにしているのですが、この暑さになりましたので、それも、しばらく休憩かもしれません」
 以前、彼はハーフやフルマラソンに挑戦していた時期もある。一時、仕事や家庭でのストレスから、走ることを止めていた。最近また走り出したらしい。それを知って嬉しくなり、久しぶりに電話した。別の友人が彼にメールを出したら、しばらくして葉書で返事が来たと聞いていたからだ(^^)。
 40歳すぎの男が、仕事帰りに退勤電車にも乗らず、走って家まで帰るか?オレがお前やったら絶対無理やわ、と伝えた。
「でも、今の自分に、何が、どれくらいできへんのかを知ることが大切やん」
 とアイツはさらりと言った。
「実はオレも自宅近くの公園にあるグランドで、一、二週間に一回15分ほど走ってるけど、じゅうぶんヘトヘトになるよ。でもスカッとする」
 負けず嫌いのオレもそう言い足した。
「そんな情けない自分と向き合うしかないしな」
「そうやな。また、電話するわ」
 とオレは短い電話を切った。でも時間の長短ではない。アイツの声を聞けただけで、じゅうぶんにエールはもらった。
 文章も、夫婦関係も、明日の予定も、いくらでも体裁上のゴマカシはきく。でも衰えゆく肉体は、それさえ受けつけない。嫌でも謙虚にさせられる。