青山ブックセンター破産の申し立てを受け、南青山本店など閉店

rosa412004-07-17

 右アンテナの茂木健一郎さんの「クオリア日記」(今日付け)を見て、このニュースを知った。16日夕方、青山本店、六本木店などは閉店したらしい(新宿ルミネ店など、一部店舗はとりあえず営業継続中という)。そのため25日の茂木さんのトークショーも中止・・・・・・・・・。茂木さんはその日記の中で、「TUTAYA」の書籍フロアのちゃちい印象を書いて怒っている。もちろん、アマゾンやブックオフの影響だってあるだろう。(http://6519.teacup.com/kenmogi/bbs
 みんな忙しくなって本屋に行けてなかったり、お小遣いも減らされて、本はもっぱら図書館で読むという人も増えているにちがいない。
 これはヤバイな。世の中がどんどん効率主義に傾けば、極論だが、誰もが自宅を一歩も出ずに、ネットを通じていろんなものを買えてしまい、いろんな名店が今後も消えていくにちがいない。このニュースはシグナルだ。無意識のうちに、効率に洗脳されて、忙しさに余裕を失い、どんどん痩せっぽちになりかけている世の中にむけて、点滅しているシグナルだ。
 市場主義者たちは、事も無げに、「社会から必要とされなくなったら消えるしかないさ」と言うだろう。でも市場主義者には青山ブックセンターはけっして作れない。「TUTAYA」の書籍フロアには真似できっこない。もちろん、僕だって利用しているから、「TUTAYA」もあってほしい。でも青山がなくなるのは、「TUTAYA」がなくなる以上に悲しい。
 生まれて初めて、青山ブックセンターに行ったのは、上京したての25歳のときだった。大阪・梅田の紀伊国屋書店にはない遊びがあり、映画文化や先端デザイン関連の本が、哲学や心理学と目の鼻の先においてあって、その背後にはリーズナブルな文庫本や、マニアックな漫画本が控えていた。ただ立ち読みしているだけの人も、ちょっとコジャレていて、業界人臭をふりまいていた。その空間自体が”先端文化のデパート”みたいだった。
 そんな空気にたぶらかされて、僕は思わず2階の音楽関連コーナーで、若き頃のグレン・グールドの演奏を収めたビデオを、めいっぱい背伸びして買ったこともある。かなり高価だったけど、僕は十二分にたぶらかされていたから、少し躊躇してレジに向かった。あの日のことを今でもよく覚えている。僕は間違いなくハイテンションだったから。
 もちろん、そんなのまやかしだとわかる。でも、まやかしが消えうせ、リーズナブルさだけを喧伝する街に、人は集まるのだろうか。表参道まで出たら、青山ブックセンターに寄って、その日の気分で本を買い、大坊珈琲店でまったりしながら読む。そんな気分転換コースの片翼がもがれた。
青山ブックセンター
http://d.hatena.ne.jp/keyword/%c0%c4%bb%b3%a5%d6%a5%c3%a5%af%a5%bb%a5%f3%a5%bf%a1%bc
●右アンテナ勝谷誠彦さんのwebでも、17、18日の連日書かれていました。
http://www.diary.ne.jp/user/31174/
●右アンテナ「Hot wired」編集長江坂さんの日記(17日付け)
http://corecolors.com/esaka/
●切ない写真2点
http://www.shinbunka.co.jp/news/04-07-16-photo.htm