ジェンキンスさん入院は”人道”作戦?!

 なんか唐突じゃないか。インドネシア入国時はしっかり自分の足で歩いていた、ジェンキンスさんの松葉杖のことだ。帰国時の1円JALチャーター機のタラップを降りてくるときは、もう松葉杖姿で、かな〜り弱々しげだった。あれって演技じゃないか。
 仮に本当に、4月の手術後の経過が悪くなったとして、いくら心配だからって、なにも曽我さんや娘さんたちまで入院するのも変じゃないか。女子医大なら、新宿のホテルからだってすぐ見舞えるんだしさぁ。何も隣室に同時入院しなくてもさ。
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 ふつう、お父さんが入院したからって、お母さんや娘さんまで隣室に入院しないでしょう?それに、女子医大クラスなら、入院したいのに、ベッドがなくてできない患者さんはいないのかな?もし、そんな患者さんがいたら、その人は健康な曽我さん母子にベッドを奪われているのが、さぞや悔しいだろう。ぼくはそっちの方が気になってしまう。
 邪推だと笑われても構わない。これはジェンキンスさんの訴追に相変わらず強硬な米国への、日本政府の”人道”入国作戦のような気がすんだよなぁ。北朝鮮と引き離し、日本入国という既成事実を積み上げた上で、病気までなっちゃっての帰国だからと”人道的処置”を振りかざして、米国の原則を有名無実化しようという、実に日本的な<なし崩し>作戦ではないか。松葉杖持たせてさ、「悪いようにはしなからさぁ」なんて政府関係者が、家族を説得してさ。
 だってカタチは違うが、”人道支援”の大義名分の下、紛争地域に自衛隊を派遣したのだって基本は同じ。自衛隊派遣時の”人道”は、国内世論向けの<なし崩し>の口実で、今度のジェンキンスさん入院は、米国政府向け<なし崩し>の口実。ね、似てない?
 もちろん、米国はそんなこと全部お見通しでさ、そこで恩を売っておいて、その代わりに何か裏で要求してるよ、きっと。たとえば、米国産牛の日本への輸入解禁とかね。そういうもんだろ、外交って。
 蓮池さん、地村さんの子供たち、そして今回の曽我さん家族の帰国までふくめて、日本は80億ドルの対北朝鮮への食料援助を決めたわけだしさ。どこを迂回しようが、それは明らかにバーター契約なわけで、それが政府の支出額として妥当かどうかなんて追及は、案の定どこもやっていないんだけどさ。
 しかし、そう考えると、違法に拉致した3家族で、80億円の食料援助を取り付けた金正日の外交能力って、日本政府の数倍上手(うわて)。こりゃ金になるぞ、と踏んだからこそ、前回の拉致被害者調査には誤りがあったって、北朝鮮は他の拉致被害者の調査についても、急に態度を軟化させてきている。今回のことにかぎらず、金巻き上げられ上手さだけが一貫している日本外交、というお話です。もちろん、今後も、他の拉致被害者の方々が無事帰国されるのはいいことなんですけどね。