太田哲也、アルファチャレンジ参戦(ハイランド仙台)〜生涯いじり飽きないオモチャの有無

rosa412004-08-01

「もう、これでいいやって思っちゃうと、もう、その時点でジジイになっちゃうじゃないですか」
 この一言に、日本一のフェラーリ使いとよばれた太田哲也の本質が凝縮している。
 大学時代にアマチュアレースから始め、プロドライバーとして、ル・マン24時間耐久レースに、フェラーリチーム初の日本人ドライバーとして参戦。そういう彼の経歴自体が、子供の頃からカートレースに出場して、ドライバー技術を磨く他のレーサーとは異質だ。
 98年5月、全日本GTレース選手権でのクラッシュ事故で、死の淵をさまよって復活。(その軌跡は奥山和由監督の映画『クラッシュ』にくわしい)右手右足に障害がのこり、障害者手帳をもつ身体で、アマチュアレースに参加して今年3年目。何事もゼロから始めて、たえずリスタートを切り、自らハードルを設定し、それをクリアしながら生きてきた人だ。
「KEEP ON RACING」
 彼のチーム名には、今なお、そんな前向きな想いがこめられている。
 土曜日、仙台市内に太田さんらと前泊して、炎天下のこの日、アルファチャレンジに行ってきた。自動車雑誌「マガジンX」(今月末発売予定号)の取材だ。今回、太田さんは、市販のアルファロメオ、AT(オートマ)仕様のワゴン車で、レース専用車両と同じクラスに出場している。機材には金をかけず、プロのスキルとノウハウをつぎ込んでチューンナップして、身体のハンディキャップを踏まえながら、レースに勝つことが彼の目標だ。
 といっても、わたし、自動車免許なし男なので、「セレスピード?」「ブレーキシャフトってブレーキのどこらへんの部品名?」ってレベルの、全然使えないオヤジなんですが・・・(^^;)
 えっ?そんなんでよく自動車雑誌の取材するなって?大丈夫、わたしの今回のお仕事は、太田さんをめぐる人間模様だから。・・・と一応逃げておくことにする。
 もう、ガソリン抜いたり入れたり、前輪から煙は出るわ、後ろのドア開けっ放しで出走しちゃうわ、あれこれハプニング続きの中、前回のリタイヤを乗り越えて、3位入賞でレースは終わった。レーサー自ら、スポンサーのステッカーを貼り、東京・仙台間の移動では僕らを乗せてハンドルも握るなど、プロ時代には全部他人任せにしていたことを、今の彼は全部自分でしなきゃいけない。
 それでもなお、レース後の打ち上げで、車のチューンナップについて、仲間とあれこれ相談する太田さんは、ガキっぽく嬉しそうだった。たかがレース、されどレース。生涯いじり飽きないオモチャをもつ男の、そんな一日をぼくは書きたい。
クラッシュ [DVD]
●「KEEP ON RACING」クラブ入会者募集中!年会費3000円
http://www.r-style.to/kor/club/index.htm
奥山和由監督DVD『クラッシュ』
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太田哲也著書一覧(変なのもヒットします。近々、幻冬舎から市販車100台の試乗エッセイ本も発売予定)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/search-handle-form/249-8957630-2172335