GARGERYビールと、情けないほど曖昧で、保守的な味覚という代物

 確かにそれは、ビターチョコレートのようでもあり、砂糖をいれて苦さを抑えたエスプレッソめいた味でもあった。苦味を抑えた濃くのある黒ビール。雑誌の取材で少々いただいた、GARGERYビールの話。これ、ぬるくなっても美味しいんだ。缶や瓶の販売はなく、都内約190店舗の飲食店の樽でしか飲めないらしい。ご興味がある方は下記のURLをクリックしてください。でも一杯1000円前後らしいけどね。
一般的な黒ビールとは全然違うから、彼女にプレゼントするには斬新な一杯になるかも。
 だが、これが本題じゃない。そのビールの開発者の人に面白い話を聞いた。
「たとえば、○○○ラガーと、スーパーラガーと、発泡酒の淡麗を3つのビール、ラベルを貼らないで味見してもらい、3つのうち、どれがラガーで、どれが端麗ですかと聞いてみたら、これはそれを製造しているビール会社の人間でもなかなかわからないんですよ」
 また、ビールの命は鮮度だとその開発者の人は言う。けれど、だ。
「たとえば、新入社員に、樽から詰めたてのラガーと、積めて一週間後のもの、一ヶ月後のものを試飲させて、どれが一番美味しいかと聞くと、本来なら一番美味しい、詰めたてのラガーの評価は最下位になるんです。なぜなら、彼らは、そんな鮮度のものを普段あまり飲んだことがないから。でもビールは日数が立てばたつほど、酸化して雑味が増えるんです。その雑味を濃くだと勘違いしている人も多いんですが・・・」
 もちろん、ビールの品種は多すぎる。でも、ビールに関する人の味覚はそれほどいい加減で、保守的なんだと自覚している人は、おそろしく少ないはずだ。それは自分では歩いているつもりでいても、整骨医の先生から、きちんと大地を踏みしめるように歩いてないから骨盤がゆるんで歪むんだ、と叱られた僕の話にもつながってくる。面白れぇ〜なぁ。こういう話、大好き!
 見てるようで見ていないもの、聴いているようで聴いてない音、話しているようで話せていないこと。たぶん今までも、そして今後も僕の周りに腐るほどあるんだろうなぁ。

●GARGERYビール
http://www.gargery.com/enjoy.html