大人が子供を見ていない、夫も妻を見ていない!?

rosa412004-09-05

 昨夜に引き続き、NHKスペシャル『子供が見えない』を夫婦で観る。番組中、元女子少年院の法務教官で、今は問題行動を起こした子供と親をつなぐ教育サポーターとして、地域の自治体で活動している女性が関わった母子のドキュメントが印象深かった。
「私の成績が良かったときは『自慢の子』扱いして、今度、私が問題行動を起こし始めると、『親に恥をかかせるな』『アンタなんかいなくなればいい』なんて言うのはヒド過ぎる。私は親の所有物じゃない」
 その女性が書き取った少女の言葉だ。
 少女が、その教育サポーターの女性が自分のために涙を流してくれたことを取り上げ、母親に対して、
「あんたは、かわいそうな母親としての自分のためじゃなくて、あの人みたいに私のために涙を流してくれたことが今まであるの!」
 という言葉も鮮烈だった。
 もちろん、母親だけのせいではない。子育てを母親任せにしている父親も同じだ。少年事件の続発で、少年法の対象年齢を引き下げたり、法律の厳罰化で対処しようとする大人のナンセンスさも同罪だ。あるいは事件を起こした子供を凶悪犯罪モンスターにでっち上げ、その親のひどさを糾弾して、いわば異物として排除するだけのマスコミだって共犯者だ。それでは何も変わらない。
 出演者の一人、作家の重松清さんは、放送中に子供たちから寄せられるメールなども踏まえて、こう語った。
「今回の番組のタイトルは『子供が見えない』ですが、こうして子供たちの声を聞いてみると『大人が子供を見ていない』あるいは『大人が子供をきちんと見ようとしていない』という方がふさわしいような気がします」
 その言葉を聞いて、ふと俺は思った。これは親子間だけでなく、夫婦間でも同じことが言えそうだと。子供がいない我が家もけっして他人事ではないなと。
 番組への専用掲示板に感想を寄せた子供たちのメールを読んでも、親に気に入られようと振舞う「いい子」の自分ではなく、本当の自分をきちんと見てほしい、と訴えている子供が多かった。
NHKスペシャル『子供が見えない』
http://www.nhk.or.jp/kodomo/