自分をさらけ出したいという欲望〜引きこもり経験者の言葉から

rosa412004-09-09

 昨日、不登校や引きこもる若者を支援しているNPOニュースタート事務局(以下、NS)」の鍋の会に行って来た。毎週1回、鍋料理を囲んで酒飲んで、老若男女がわいわいやる日だ。NSには引きこもり生活を解消した若者たちが共同生活を送る寮が、国内外にある。千葉県市川市にある寮で暮らし始めた、初対面の引きこもり経験者二人と話していたら、二人とも拙著を読んでくれていた。
 その感想をたずねると、中学校から引きこもり、NSでの生活をへて、ネットベンチャー企業に修行見習いとして採用され、かねてから興味があったプログラマーの仕事に、幸運にも就くことができたK君の話がもっとも印象深かったと、二人とも口をそろえた。
 じゃあ、具体的にはどの部分が印象に残っているの?とかさねてきくと、その会社の社長との面接で、K君が泣きながら、「この会社に入りたいです」と懇願した場面だと、やはり二人が言う。
 その話では、それまでクールというか、自分の気持ちや意見をはっきりと口にしなかったK君が、その面接で初めて恥も外聞もかなぐり捨てて、自分をさらけ出すところだ。
「そうか、二人とも、自分をさらけ出したいって思ってるんだね」
 とぼくが言うと、二人とも黙ってうなづいた。彼らはK君の挑戦に未来の自分をも重ね見ている。
 書き手として、それがとても嬉しくて、胸がじんわりと熱くなった。自分の拙い言葉が彼らの胸に届き、そこにいくらかの光が差し込んだ。K君の変化を綴った文章で、彼らが心を震わせてくれて、初対面の彼らの言葉に、今度は僕が心を震わせている。
ニュースタート事務局 http://www.new-start-jp.org/