部屋をふきぬける秋風を感じながら、「感情を吐き出す技術」を考える

rosa412004-09-21

 昨日はビオダンス体験をきっかけに、「自意識を脱げない」自分について書いた。今日は感情を吐き出すことについて少し書く。
 今週19日の朝、NHKの番組で女優、夏木マリによる『課外授業』を観た。(この番組について関心のある人は、今月12日にも書いているのでそちらを参照して)彼女が卒業した小学校の6年生のあるクラスを対象にした特別授業だ。夏木さんが、子供たちに怒ったり、グループでボール投げをしたり、他人の真似や仮装をさせながら、自分をうまくアピールする方法を教えていく内容だった。
 一番興味深かったのは、二人一組になって、自分が今まで一番腹が立ったことをお互いに言い合うゲーム。まず大半の子たちが感情を吐き出せず、まるでおばあさんの愚痴みたいにモゴモゴ言っているのを目の当たりにして、ゾッとした。わずか12歳で怒りの感情を吐き出せなくない。昨今の少年事件を見ても、これでは、いつか何かをキッカケに暴発する危険が高い気がする。
 でも中には、上手に怒る子もいて、夏木さんと対決した男の子は、言動不一致なお母さんへの怒りを爆発させていて、大いに笑えた。そう、このゲームのミソはペアを組んだ相手を怒るのではなく、過去の経験に怒りの矛先をもとめている点だ。だから少しも険悪な空気にならず、むしろ怒る自分を巧みに演じている姿に笑えてしまう。懸命に怒っているのに面白い、というギャップも楽しい。
・・・しかし他人事ではない。何がって?怒りの感情を吐き出せないことが。僕は笑ったり泣いたりするのは得意だ。涙腺が弱いので、テレビや本を読んでいてよく泣いてしまう。喜ぶのもじゅうぶんオーバーだ。別に胸を張るようなことでもないけど。
 唯一、怒るのが苦手だ。とりわけ他人の前で怒りの感情を吐き出せず、どうしても溜め込んでしまう。あるいは嫌なヤツな無視して頭から消す。誰かのせいで、不愉快になっている自分が嫌だし、もったいない気がする。それを「もったいない」と考える点は、もしや大阪人のせいか?いやいや、大阪弁でいう「エエカッコシイ」の要素もありそうだ。
 その一方で、割と短気だからイライラはする。だからおばあさんの愚痴みたいにモゴモゴ言ってる彼ら小学生も、ぜんぜん笑えない。
 でもビオダンスでも痛感したが、感情をうまく吐き出す技術は、精神面をうまくコントロールするためにも大切だ。いまどきの世相を思えば、できるだけすこやかに暮らすためには欠かせない。
 今夜は玄関を少しあけ、ベランダ側の窓を網戸にすると、とても心地いい秋風が部屋をふきぬけていく。この風のように感情をうまく吐き出して、心と身体をうまくコントロールしたいもんだ。能面みたいな顔の大人にならないためにも。