武器輸出三原則の見直しは、経団連の政治献金解禁とリンクしている

rosa412004-10-04

 NHK地上波の夜10時のニュースを見ていたら、武器輸出解禁をめぐる動きを伝えるニュースをやっていた。なんでも次世代のミサイル防衛用迎撃ミサイルの日米共同開発、生産を考えれば、武器輸出禁止の三原則を改正しないと、本格化できないという理由らしい。
http://www.asahi.com/politics/update/1004/004.html
 数年前、この防衛用迎撃ミサイルの日米共同開発がニュースになったときは、その技術的困難さが指摘されていたはずだが、今日のニュースだとそんな点には一言も触れず、「一方、専守防衛の原則があるため、今後の議論が必要となるでしょう」という他人事みたいな結ばれ方だった。とっちゃん坊やみたいな記者が、まるで全国的に快晴の天気予報でも読み上げるみたいな危機感の無さで、ブラウン管の向こうでしゃべっていた。そしてすぐさまイチロー特集に切り替わった。このごまかし方が胡散臭せぇ。訳もなく無性に胸くそが悪くなった。こういう番組構成に対してこそ、視聴者のメディアリテラシー能力が問われているのだと思う。
 
 だいたい、そういう提案をまとめた、小泉首相の私的諮問機関「安全保障と防衛力に関する懇談会」(座長・荒木浩東京電力顧問)自体が胡散臭い。そもそも、日本の安全保障の一大転換になる提案を、この懇談会の人たちは、上記の朝日コムの記事をみると、「現行憲法の枠内」だとぬかしているらしい。
「なんでやねん!」
 と、思わず左手で相方の左胸辺りを叩いてしまいそうになる。悲しいぐらいわざとらしい<確信犯的文盲>連中だ。この懇談会のメンバーは以下の通りだ。(http://www.kantei.go.jp/jp/singi/ampobouei/konkyo.html
 一方で、武器の携帯もふくめた、自衛隊の本格的な国際平和協力隊への参加などとという、いかにも眼くらましみたいなテーマをセットで発表している点がさらに臭い。
 だいたい、安全保障関連の懇談会に、なぜトヨタ自動車社長が入っているのか、不思議な気がする人もいるだろう。だが先の参議院選挙前に、政治献金の解禁を決めた経団連の会長が、やはりトヨタ自動車の会長だったりすることを考えれば、なんとなく浮かび上がってくるものがある。
 
 それは少子高齢化が進み、もはや右肩上がりの経済成長を見込めない日本は、平和憲法をもつ国にとっては禁断の果実である、武器輸出禁止の旗を降ろし、防衛産業を新たな経済成長の柱にしようと目論んでいるという見方だ。その点で、経済界と自民党政治は利害の一致を見る。先の経団連の政治献金解禁は、今回の武器輸出三原則の見直しと確実にリンクしていると私は考える。
 だってイラク侵攻で、アメリカの軍事産業がどんだけ儲けまくっているか、経済界の連中は目の当たりにしたんだからさ。こんなにいいお手本はいない。そしてトヨタは日本の経済界の総意というシンボリックな存在である。国外での人間の殺戮に手を貸してでも、金儲けして経済を活性化しようというエコノミックアニマル熱再燃!といったところか。
 そんなぁ、チョット考えすぎじゃないのぉと笑いたい人はどうぞご自由に。それが単なる杞憂かどうか、明日の新聞各紙を、試しにチェックしてもらいたい。