リスクをとらずに値引きにはしる体質

rosa412004-11-18

「貸しビルのオーナーはね、中古物件の空室を埋めたいと考えるときには、まず値引きしか考えないんですよ。先行投資してリフォームをして物件に付加価値をつければ、もう少し高く貸すことだってできるのに、実に後ろ向きにしか考えない。なぜかっていうと、先行投資っていう資金リスクを負いたくないからですよ。日本社会全体がそうですよね」
 今日、取材で会った人はそう言っていた。彼は中古マンションやオフィスに対して、デザイン性を重視したオーダー・リフォーム業を手がけている。既存の建物の機能や用途を変更して、性能を向上させる、いわゆるリノベーション事業だ。その手法で、先行投資を渋るビル・オーナーを口説き落とさなければならないと。そこで苦労するんですよという流れから、冒頭の話になった。
 そのとき、昨日の日誌で書いた格安旅行の話がぼくの頭をよぎった。クリエイティビティ(創造性)がないから、既存の施設や観光資源をただ巡るだけの旅行しか企画できない。そこに付加価値をつける工夫をしない。脳ミソを使わずに値引きに走る。つまり、リスクをとらないから値引きに走る。まるで一緒じゃん!
 リスクをとらず、問題先送り、その場しのぎ。不動産といい、旅行業界といい、業態は違っても同じ構造をかかえている。その歪んだ現場を、人員削減でノルマが増えた正社員と、低賃金の契約や派遣、フリーターが支えている。