NHK-BSハイビジョン『スケッチショウ+坂本龍一』

rosa412004-12-11

 偶然、昨夜テレビのチャンネルをあれこれ押していて、元YMO3人のライブに出くわした。どこかラウンジっぽい旋律が、なぜか心にすーっと入ってきた。高橋幸宏のボーカルっていいなぁとか、白髪交じりになっても、それぞれが好きな音楽を探していて、それが久しぶりに、とても自然かつ穏やかにつながった感じが妙にカッコイイなぁとか。YMOには何にも感じなかったオレなんだけど・・・。
 少々枯れたオジサンたちが、気持ちよさそ〜に遊んでいる感じが、画面を通してすごく伝わってきた。高橋と細野のスキップショウの『LOOPHOLE』は、3曲の冒頭だけが軽く聴ける。『FLAKES』とかイイ。
 でも途中から観て、一番気に入ったのは『Riot in Lagos(ラゴスの暴動)』(ラゴスとはナイジェリアの首都名)。調べてみると、坂本の『/04』の曲だった。これもラウンジ風の旋律に、高橋のボーカルがからむ。歌詞にとりたてて意味はない。韻をふんだ単語が淡々とならぶだけなのだけれど、それが一定のリズムとして主旋律に陰影をあたえる。日本語から意味を剥ぎとり、それがはらむリズムだけを曲に取り込んだような使い方が、とても新鮮に思えた。
 後日書くが、その前日に、徹頭徹尾三人称で綴られた小林照幸著『朱鷺(とき)の遺言』という聞き書きノンフィクションの傑作を読了した影響も、多少あったと思う。一見クールだけど、その背後に押し殺した怒りや嗚咽、悔恨が見え隠れする文体。それがオレの中では、3人によるラウンジ風の音楽と、なんの脈絡もなく勝手につながってしまった。
 これも何かの縁だろうよ。年内に書き上げる予定の原稿も、徹底した三人称のクールな文体で通しつつ、時折、落とし穴みたいに人の感情が弾けるようなものにしようと決めた。

http://d.hatena.ne.jp/04 (初回盤)

/04 (初回盤)