定年夫婦のゆとりライフのあばら骨

rosa412005-01-04

 まずしい豊かさ、という言葉がうかんだよ。きのうのテレビ観てて。テレビ東京で午後6時半から9時まで、「月10万円で豊かに暮らせる日本の町&村ベスト12」という番組をやってた。要は、定年夫婦などが大都市の持ち家を売却したりして、地方都市で質素だけど健康的な生活をたのしんでいる事例を紹介する番組だった。地元の農家や漁師と知り合いになり、生鮮品を安くわけてもらって、月10万円生活を実現ってわけだ。
 もちろん、住宅ローンをかかえてるオレからみれば、月10万円は魅力的だ。それに都市と地方の情報格差もインターネットの普及なんかで、かなり小さくなっている状況もある。だから、それもありかなとは思う。
 でもね、それって都会の核家族が、地方に移っただけじゃん。都会で長年くらして、会社と自宅の往復で、地域に知り合いなんて一人もいなかっただろうお父さんが、いきなり地域で、会社の肩書きもなくして、いちから人間関係をきずいていけるとは思えない。そういう社会力、人間力って急に身につくもんじゃないから。それぞれの人生の中でつちかっていくものだと思う。だから夫婦仲がいいのは素敵だけれど、結局は、都会にくらべての濃密な地方の人間関係にはなじめない気がする。彼らよりまだパワーがある30代夫婦が、ゆとりライフを求めて地方に移住して、その濃密さになじめず、また東京にUターンした話もけっこう聞くしね。
 だから表面的な交流はあっても、時間がたてば移住した夫婦だけが孤立して、地域社会から引きこもって、孤独死みたいな図柄が見えてしまう。ちょっと意地悪すぎるかな。表面的な割安感と健やかさで、そういう定年夫婦の暮らし方が「お得な情報」たりえてしまう、05年新春のあばら骨ぶりがむしろ切なかった。