季刊「ひとりから」と米軍リクルーターの暗躍

rosa412005-01-17

 筑紫みずえさんから、新年のご挨拶が入った封筒が先日届いた。筑紫さんが昨年始められたファミリー・フレンドリー・ファンドの紹介記事や、雑誌のコピーが同封されていた。
 その中に、季刊「ひとりから」に収録された、堤未果さんの「世界中のグランド・ゼロ」という文章のコピーがあった。第一回「正義の価値」〜大統領選挙をめぐるアメリカ社会の光と闇、とある。
 その文章で最も印象的なのは、イラク戦争が泥沼化する中で、不足する兵士を集めるために軍から選ばれたリクルーターの話だ。彼らは成績が悪い生徒や、家が貧しくて大学進学できない生徒、住環境が劣悪で飢餓状態にある生徒たちを狙って訪問し、軍隊への入隊をすすめるのが仕事だという。彼らリクルーターも必死だ。勧誘成績が悪いとイラクへ送られるからだ。
 五万ドルまでの大学費用や、除隊後に就職に有利な職業訓練、相手が移民なら市民権の特典までが、彼女いわく「エサ」にされる。だが実際には、大学費用をもらうためには、1200ドルの前払い金が必要だったり、戦車の運転やミサイルの手入れという職業訓練。おまけに予備兵なら戦地に行かされる確率は数%だといいながら、米軍はその「エサ」に誘われた若者を予備兵として三○万人もイラクに送っているという。
 実際に、堤さんも大統領選挙の取材で、同行の男性カメラマンが宿泊先のホテルで警察官に暴行され、ホテルを追い出されたらしい。
 このルポを読みながら、ぼくは鼻の奥の粘膜がつつかれるような気分になった。テレビは大統領選挙で熱狂する群衆は報道しても、こういう隠れた場所で行われていることは伝えてはくれない。ただ、情報産業の末端にいる人間として、何も知らされていないんだとただ被害者面をするつもりは毛頭ない。自分で知っていくしかない。そしてできる範囲で、このblogを読んでくれているあなたにも伝えたい。