深夜のいよかんとサッチモと「ささやかだけれど、役にたつこと」

 夜11時すぎ、渋る奥さんをさそってウォーキング。20分も歩くと、手袋をしてる両手や上半身がホカホカしてくる。約30分の遊歩道から幹線道路の周回コースをあるいて終了。家にもどってシャワーを浴びると、今度はいよかんがむしょうに食べたくなる。この冬、みかんは不作だったが、いよかんは例年どおりジューシーで、ミカン・フリークのおれはとてもホッとしている。
 歩いたから身体が活性化して、疲労回復のためのクエン酸を求めてきたにちがいない。水分補給でもある。おれが食べてるのを見て、「ずいぶん美味しそうに食べるわね」と奥さんも食べだす。
 先に食べ終えて、ベッドに横になり、東京FM「ジェット・ストリーム」を聴く。伊武雅刀の渋い声と、1日の終わりにふさわしい選曲がすーっと胸にしみいる。「サウンド・グラフティ」で、ルイ・アームストロングのヴォーカル曲3曲が流れる。
 1曲目の「この素晴らしき世界に」を、3年前、赤坂ブリッツでの綾戸智絵さんが歌ったとき、ふいにグッときたことを思い出す。CDでは何回も聴いてきた曲なので、どうしていまさら、とおれは慌てた。シンプルな歌詞だけど、きちんと歌の世界を描ける人が歌うと、この曲は人の心の柔らかい部分をちくりと刺すことを知る。今夜は3曲目の「メモリーズ・オブ・ユー」も耳に残った。
「ささやかだけれど、役にたつこと」とは、村上春樹訳のレイモンド・カーヴァー短編集のタイトルだが、「メモリーズ・オブ・ユー」をききながら、その言葉を思い出した。そうだ、湯豆腐から白菜と水餃子、そして最後はネギ入り稲庭うどん、という夕食の流れもよかった。いい1日だったと、穏やかな声で自分に言ってやりたくなる。もちろん、彼女にも。
 仕事部屋にもどって、ふたたびサッチモを聴く。このCD2曲目「スィート・ロレイン」が良くて、リピート・モードにする。おやすみなさい。
●おまけ:東京FM系列全国38局おススメ「夜景ドライブ・スポット」動画編

バラード・サッチモ

バラード・サッチモ