なにげなくて愉快な勇気

 高校時代の友人Sと大学時代の友人Iが、我が家に集って夕食のテーブルを囲んだ。SとIはおれの結婚式で、同じテーブルを囲んで以来、2回目だ。片方は相手を覚えていて、片方はまるで忘れていた。
 それでも笑い声がたえない、愉快な時間だった。気のおけない友だちとは言っても、20年から25年間は時々しか会わないから、その間のことはまるで知らない。
 ふと見ると、Sは Think the earth時計「ws-1」をしていて、Iは重力と身体の因果関係の本を読んでいた。それぞれに、おれにとっては新たな発見だった。だけど、それらは「へぇ〜」でもあるし、「なるほどねぇ」でもある。同時に2人がそれぞれ誠実に生きようとしているシグナルみたいに思えた。
 実はおれも Think the earthプロジェクトが発行した『百年の愚行』という本を持っている。その時計も一瞬買おうかと思ったが、そのデザインにいまいち心惹かれず思いとどまった。そんな妙に呼応している感じが面白い。
 一人が興味をもっていることが、もう一人が最近痛感していることだったりして、話題は意外に、あるいは心地よくシンクロしながら進んだ。基本的な部分で、おれたち3人はよく似た考え方や感じ方をしている。あれこれ話しながら、それは3人ともがきっと体感していたはずだ。
 京都出身のIは昔同様にほわわんとしていて、大阪出身のSは少し酔っていたのか、オレのツッコミを誘うかのように、一人で懸命にボケつづけた(^^;)。
 この日、京都まで新幹線で帰るIとは握手をして別れ、
「職場では誰もツッコんでくれへんねん。仕方ないから自分でボケて、自分でツッコんでるわ」
 駅近くまで送りに出たおれに、Sはそう言って最寄り駅へときびすを返した。

百年の愚行 ONE HUNDRED YEARS OF IDIOCY [普及版]

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