新横浜ラーメン博物館〜あげパンと三角牛乳をめぐる心の揺れ

rosa412005-02-10

 横浜市営地下鉄のある駅近くで、3時半近くにひと仕事終了。そこから数駅先の新横浜まで出て、ラーメン博物館へ向かった。ちょうどお腹も減ったし。
入場料300円を払って、まず札幌けやき(欅)の味噌ラーメン900円。見た目よりあっさり味のスープとちぢれ麺。大ぶりに切られたキャベツの甘みが、アクセントを利かせてる。2杯目は岩手・久慈の「らーめんの千草」のミニ醤油ラーメン550円。こっちは逆にスープは見た目より濃くがあってうまい。細めんとの絡みもいい。印象的だったのはチャーシューで、スープの味を濃縮したような下味がきちんとつけてある。うまい。一人どっちの料理ショーは、「らーめん千草」の勝ち。
 で、屋台で売ってた懐かしのあげパンと三角牛乳を、わが家へのおみやげにした。まあ、当たり前なんだけど、作るのを見てたら、ただのコッペパンを油に投げ込んでくるりくるりんして、ただ砂糖やきな粉をまぶすだけなんだよね。せ、切ないほどのシンプルさ。これで1個200円かよ・・・。
 小学校の給食で、今日はあげパンだなんてわかると、オレもふくめてクラスのみんなは喜んでたんだよなぁ。おおっ、今日はツイてるやん!みたいな胸の高鳴りがあった。本来、焼くものであるパンを油であげる。それだけでも、子どもにとってはすごい展開なのに、さらに砂糖をまぶして美味しくするという、あふれるようなサービス精神の甘美さとか。
 だって普通は食パンかコッぺパンに、マーガリンかジャムのセットだったから。あげパンはすっごくゴージャスでまぶしく見えた。
 でも今日、41歳のオッサンが目の前でそれができあがるプロセスを見てると、ずいぶんと安っぽく見えてしまう。ガキだった自分を少し恥入りだす始末だ。ビニールパックのご飯が給食に出たときも、そうだ。そのビニールパックという外観に、なんかすっげぇ〜進歩を感じた。ただのご飯なのに。
 そう思うと、新たな文化って、それまでの常識や固定観念が心地よ〜く覆される、あのときめきとともに輝きを放つものだった。コストのかけ方ではなくて、うまく言葉では説明できないけど、すごいゴージャス感を与えてくれるもの。70年代とは、そんな牧歌的な手仕事が輝けた時代だった。
 で帰ってきて、夕食後に、電子レンジのトースト・モードであげパンを温めなおして、エスプレッソとデザートタイム。きな粉あげパンと砂糖あげパン対決は、2対0で砂糖あげパンの勝ち。シンプルだけど、やっぱりうまかった。奥さんも砂糖側を支持。オレの追憶だけでなく、客観的にうまいということだ。
 自分の味覚を恥入る必要なんてなかった。およそ30年ぶりに食べても、うまいものはうまい。でも、これなら自宅でコッペパンを油で揚げて、砂糖まぶして食べたら50円くらいで食べられます。