江川紹子ジャーナル〜堀江貴文ライブドア社長の「新しさ」

rosa412005-02-15

 ジャーナリスト江川紹子さんのwebで、彼女が行ったライブドア堀江社長とのインタヴュー内容が、一問一答式でアップされている。これが興味深い。っていうか、ぼくにはメッチャ面白い。(一番下の方にあります)
 それに、ブルームバーグは別にしても、ロイター通信が通信社ながら、証券取引で業績を伸ばしたなんて知らなかった。お恥ずかしい(^^;)
 でも、このインタヴューで一番面白いのは、当然そこじゃない。以下、少し引用させていただく。

インターネット時代の金融会社を大きくしていくためにはどうしたらいいのかっていう流れの中で、メディアを持たなきゃいけないっていう話になったわけですよ。発想はブルームバーグさんと全く一緒。
 ロイターもブルームバーグも、企業内に情報配信システムをまず設置して、取り引きをそこでしてもらってサヤを抜くみたいなビジネスがメインになっているのは確か。それをやりたくて。
 ライブドアポータルサイトの会社なんだけど、証券もやってる。ユーザーが自然と、証券をやるならライブドア証券で、という流れを作っていきたい。
 その中で、さらに信用とか格を上げていくためには、もっとメディア寄りのイメージをつけるのが得策だろう、と。――では、政治や社会、文化のニュースも扱う?
 まあ、おまけなんですけどね。別にそこで儲けようとは思っていない。トントンでやれればいいな、と。
――今までのメディアとの違いが見えてくるのは、もう少し先になりそうか。
 う〜ん、まあ。それ(=違い)がメインなんじゃなくて、我々がメディアを作ることがメインなんです。やりたいのは、そこ。
――プロ野球の一件でメディアにいろいろ取り上げられた。そこで不満を感じたことが動機付けになってはいないのか。
 全然なってないです。そういうことじゃないんです。
――テレビの買収とか新聞などの紙媒体を持つことに関心は?
 それはもちろん関心はありますよ。なぜかっていうと、最終的にはみんなインターネットになっていくんですけど、特に日本は(それが)遅くなるだろうなと思っている。日本人は、未だに新聞やテレビを信じちゃってるんで。ウソばっかり書いてあるんですけど、ハハハハ…

 この着眼点は正しい。しかも、彼はそれを一夜にして実現しかけてしまった。そこに目をつけても、それを実現しけられるヤツはそう多くない。そこがまず新しい。
 去年の近鉄球団買収同様、新興ネット企業から見れば、日本的な根回しでは相手にしてもらえない。だから買収資金を準備して株を買い占めて発言権をもつ。実にまっとうなアメリカ的な手法だ。
 これについても、金融庁も日経の記事もやんわり批判的だけど、時間外取引は、多少制度の隙間をつく要素はあるらしいが、通常行われている商行為だ。
 たとえれば巨人軍が「空白の1日」を悪用して、江川卓投手と電撃契約を結んだ感じか。いわばナベツネ的手法で、マスメディアの買収を試みてる。
 一方、既得権側からはショバあらしへの反感が起こっている。フジテレビなんて、堀江氏の出演しているテレビ番組を放送中止なんていう大人気ない手法で、そのお尻の穴の小ささを世間に自ら喧伝してる始末だ(^^)。デカイ図体のわりに、限りなくショボイ。
 堀江氏の「新しさ」を、江川さんのインタヴューでぼくは再認識させられた。もちろん、インタヴューを全部読むと、そこには経済論理優先で、報道倫理や客観性については心もとない。だから、良きにつけ悪しきにつけの「新しさ」だ。しかし、だからダメだという話でもない。
 これも堀江氏が指摘しているが、既存の報道機関が「表現の自由」をかかげる割には、その客観性や倫理もかな〜り心もとない。それも事実だ。
 去年のプロ野球球団買収の騒動では、ぼくはライブドアの売名行為という視点でしか見ていなかった。でもこれを読むと、ぼくはマスコミの視点に洗脳されていたんだなぁ。堀江氏が指摘しているように、そこが圧倒的な情報量で物事の是非を方向付けてしまう、マスメディアの権力のなせるわざだった。彼はそこに今、権力闘争を挑んでいる。
 国境をこえて、企業が買収したりされたりする世の中で、日本語という障壁に守られているマスコミ業界。新聞も週刊誌もテレビも、劣悪な商品を販売していても、あんまり外資系に買収される危機はない。「たかが選手」発言の主みたいにお下劣な人間も多い。堀江氏はその巣窟に外資系の資金を武器に切り込んでみせた。
 これは戦国時代にたとえれば下克上であり、新旧勢力の権力闘争だ。今後の動向は要チェックだ。