堀江社長の「新しさ」(3)〜世界は平べったくなる

rosa412005-02-17

 先日、日経の方と昼食をご一緒する機会があった。その方の話の中で、印象にのこった話が2つある。
 まず「日経テレコム21」というデータベースが着実にユーザーを増やしている、という話だった。これはキーワード検索することで、日経をふくむ主要新聞の関連記事がキーワード検索できるサービスだ。
 現状では個人にとっては高額(ぼくにとってだが)なので、企業ユースが主体だと思う。しかし、ゆくゆくは企業版より情報量を絞った形で、値段を下げた個人版が出てくるだろう。それでもじゅうぶんに収益を出せるからだ。
 100、200時間録画可能なハードディスク機能付きDVDが売れているのも、1000曲ダウンロードできるipodが人気なのも、たぶん同じ理屈だ。ただ便利だけではない。より膨大な情報から何かを選びとる。その感じがなんだか「気持ちいい」と。
 これは昨日引用した堀江社長の「より多い情報から判断する方が賢明で、そのための情報処理能力は速ければ速いほどいい」という発言とも呼応する。
 それは、すでに新聞記事と個人blogが混在する「ヤフー」や「グーグル」の検索画面と同じ発想だ。 
 現在のスピードでデジタル機器のイノベーションが進めば、確実に新聞紙という形態は、携帯電話、もしくはソニー製「クリエ」的な情報端末に収れんされていかざるをえない。それは、新聞紙という形態がもっていた「権威」を失い、検索エンジンに呑み込まれ、個人ブログやwebの情報と並列に平準化される。しかもアクセス数の多少で序列化されれば、大手新聞記事が、個人blogの文章よりはるか下位にランキングされかねない。
 テレビ番組だって、なれの果ては同じだ。世界の果てまで取材費をかけて出かけていく番組より、隣近所を舞台にしたライブカメラの物語が、上位にランキングされかねない。
 個人的な意見だが、ぼくにとっては、有料な「asahi.com perfect」の文章より、無料の茂木健一郎さんの個人blogの文章の方が、10倍、20倍面白いときが何度もある。
 大なり小なり、インターネットはそうやって既存の権威を形無しにして、あらゆるものを「面白いか」「面白くないか」で序列化するメディアとしての側面をもっている。
 端的にいえば、そんな調子で万事はどんどんデータベース化されて、「権威」は形無しにされ、世界は平べったくなる。薄っぺらになる。
 昨日引用した「(将来のライブドアが発行する新聞の構成は)記事の人気順」という堀江発言は、一見世間知らずで、とんちんかんに聞こえもするけれど、方向性としては正しい。そこで問われるのは、何をどう「面白い」と思うかという、検索ユーザー側のクオリティだろうな。