ワタリウム美術館「新庭園倶楽部」〜重森三玲の作庭術

rosa412005-04-15

 近頃、マイブームな「枯山水庭園」。ちょうど、外苑前のワタリウム美術館で、「2005年新・庭園倶楽部」という連続講座が行われるのを知って申し込んだ。ちょうど何かを系統立てて勉強したいなぁと漠然と思っていたところだった。先日ここにも書いた「京都・東福寺」の方丈庭園を作った重森三玲の作品に惹かれていたし。10月までの全6回で、その間、同美術館で行われる展覧会も無料で観られる特典もついて、1万7000円ならかなりお得だろう。
 第一回目はその重森三玲の唯一本の作庭ドキュメンタリーと、その作品解説を、重森の孫の重森千青が語るという趣向だった。たいして人はいないだろうと思っていたら、実際には40人超だった。オバサンとオジサンが多いが、時折、20,30代の女性や男の子も。重森ファンって意外と幅広いんだなぁ。
 その映画で、はじめて重森三玲本人を観た。少し小林秀雄を彷彿とさせるオールバックの髪型と、気難しそうな顔。紋付袴姿。少し甲高い声で、重森は語る。
「昔の作庭を観て気づいたのは、古い人ほどとても正直な仕事をしているということでした。そして現代に近づくほど、人間の堕落を映している。人間性を失いつつあることがはっきりと見て取れるんです」
 うーん、小林秀雄にも似た深い洞察力を感じさせる。京都・竜安寺という永遠のモダニズムを超えるものが出ていないこと。あの永遠と瞬間を感じさせるものがないことを彼は痛感する。そこに業を煮やした重森は、鎌倉・室町に盛んだった作庭をふまえ、昭和の時代のモダニズムを自分で作ろうと思った。モノマネが作庭の基本という流れに抗い、「モノマネはしない!昭和に生きている自分の、新しい感性で作り上げる!」と決意して、79歳まで作庭をつづけた。
 その絶作となった京都・松尾大社にある庭をみてほしい。既存の枯山水観を突き崩す、峻烈な山脈みたいな作品を、死ぬ直前に作りえた重森のパワーに圧倒される。この人、やっぱカッコイイわ。ちょうど来週、京都旅行だから、ぜひ松尾大社の庭を観てきたい。