日経ビジネス連載「西川善文とその時代」〜一人のバンカーに時代を重ね見る試み

rosa412005-04-19

 今日19日、三井住友ファイナンシャル・グループでトップ人事の刷新が発表された。旧住友銀行時代から8年間トップをつとめたのが西川善文・前社長。
 彼の退任を見こして、先週号から日経ビジネスでひとつの連載が始まっている。「銀行晩鐘〜西川善文とその時代」だ。今でこそ、剛腕経営者といわれる西川だが、大人しい優等だった少年時代から、住銀カルチャーの中でどう鍛えられ、変貌をとげていったのか。そこに同行の変遷とともに、バブル崩壊以降をなんとか乗り切ってきた、ひとつの時代を重ね見ようとする試みだ。
 速報と官庁発表の受け売り、舞台裏記事ばかりがにぎやかな近頃では、とても新鮮な挑戦だ。第一回目の冒頭は、月下美人を育てるのが好きだという西川の意外な趣味に焦点を当てて、連載全体をシンボリックに飾っている。また、そこに取材者の力みと想いも見てとれる。通常の同誌の文体とは違い、少々センチメンタルなんだもん。
 この連載に際して、西川の取材はできなかったらしく、かなり周到で緻密な周辺取材を重ねて原稿が書かれていることも読めばわかる。そこに同じ書き手として、読みながらぼくも思わず共振もしてしまう。そもそも、こういう取材モノ自体が、日経ビジネス自体久しぶりだし。興味がある方はぜひバックナンバーから読んでみることをおススメしたい。今週の2回目を見ると、一人の記者ではなくリレー方式での連載らしいが、今後の展開が楽しみだ。