藤代裕個展「Wood works KINO」(吉祥寺4月23日〜30日)〜廃材が織りなす余白のポエジー

rosa412005-04-23

 どこか懐かしいようでいて新しく、冷たいようでいて温かい。それぞれの作品の向こうに、自分が今まで見てきた光景をおもわず探してしまう。そうしながら心がどんどん、しんとなる。肩の力がすっとぬけて、なんか自分の表情がやさしくなっていることに気がつく。
 それは、藤代さんの作品がたっぷりとした余白をかかえているからだ。だから観るものの想像力がとても刺激されてしまう。ぼくの文章に一番足りないものがそこにある。
「藤代さん、おめでとうございます。とうとう、自分のスタイルを見つけましたね」
 少し偉そうに、ぼくは小さな花束を彼にわたしながら、そう言った。
 藤代さんに初めて会ったのは去年、青山ブックセンター本店だった。廃材の木と針金を使った少しかわいい作品を、ぼくがしばらく観ていたら、藤代さんから声をかけてもらった。だが実はその日が展示最終日で、彼はそろそろ片付けようかと思っていたらしいが、ぼくがじろじろ観ているので、少し急かそうと話しかけたらしかった(^^)。
 その出会いが縁で去年、田町「ヌースフィア」にも作品を展示してもらった。確か「ヌース」開業1周年記念のパーティだった。そのときに、ぼくもひとつ買わせてもらった。
 でも、そのときとくらべると、作品ははるかに洗練され、より抽象的になることで、より多くの余白をまとっていた。作品として、なにかを突き抜けたという確かな手ごたえが見える。その変化の大きさ加減がわかるだけに、ぼくは圧倒されてしまった。短期間で、ここまで深くなり、そして広がるものなのかと。
 来週の30日土曜日まで、JR中央線「吉祥寺」駅から徒歩5分、東急百貨店裏側の大正通りを左に入って80mほど。「ギャラリーfe've]にて開催中です。日差しがたっぷり入る素敵なギャラリーなので、その移ろいが作品に微妙なアクセントを加えてくれてます。
@24日〜26日京都旅行のため、「スチャラカ」もお休みします。