『子どもたちの笑顔のために〜ユニセフと歩んだ50年 日本ユニセフ協会半世紀』日本ユニセフ協会社史刊行会

rosa412005-05-09

 去年12月から取材を始めて、2月末に原稿を書き終えた本が届いた。先日も、皇太子夫妻も出席されて、日本ユニセフ協会50年式典が行われていたニュースを観た人も多いだろう。その50年の軌跡を、当時の関係者などもふくめて取材して生まれた一冊だ。二人の書き手で分担して、400字詰めで130枚ずつの原稿を書き上げた。1冊買うと、100円の寄付が日本ユニセフ協会にできる仕組みになっているらしい。
 ぼくはこの本の前半部分1978年までを担当した。1963年生まれのぼくは、当然、小学校から給食で育った世代。だが戦後日本の最初の給食は、ユニセフミルクと呼ばれるアメリカからの援助物資だったことを知っている人は、かなり年配の方だろう。
 戦勝国アメリカが無償提供した脱脂粉乳(牛乳から脂肪分と水分をとった粉)を、日本まで輸送する費用をユニセフ(国連児童基金)が負担し、最初はごく一部の小・中・高校で、それを水で溶かして温めたミルク、焼きたてでも固いコッペパンと、アメリカ製缶詰の具を使ったスープが、当時の”豪華”給食のメニューだった。1949年の話だ。
 わずか56年前の話だが、取材をしながら、まるで100年以上前の話を聞いているような錯覚に何度もとらわれた。書店では6月発売だと思うけれど、戦後日本の良心の軌跡ともいえる一冊です。