新・庭園倶楽部(第2回)垣間見(かいまみ)の恋と、平安時代の神殿造り

rosa412005-05-13

 ワタリウム美術館で同講座2回目。前回より聴講生は増えて60人超。この美術館の講座が人気なのか、庭園関連がブームなのか?向学心の強い中高年の女性が過半数を占めている。その中で、白髪頭のビジネスマン風の姿も見える。
「垣間見」とは、物陰や垣根の間から、男が女を見ること。伊勢物語や源氏物語といった古典の恋愛文学の多くは、その垣間見から生まれている。今日はその垣間見と平安期の神殿造りの関係性の講義だった。
 神殿造りは、今で言うワンルーム。平安期は、そこを屏風などを使って仕切り、着替えやトイレ、湯浴みなどを行っていた。それ以外にも、部屋を囲む庇(ひさし)には上下に開閉する木製網戸みたいな半蔀(はんじとみ)や、庭には木の枝を縦横に編んだような柴垣といった、周囲の視線をさえぎるものが使われていたらしい。
 つまり、神殿造りという当時の建築様式が、垣間見の文学を生んだ。しかし江戸期になると、現在の住宅のような個別に仕切られた部屋が生まれ、文学は垣間見から、遊女や心中物を悲恋をテーマとするようになった。
 そして平安の「垣間見」から、この平成は「見せ下着」「車内化粧」の時代へ。このまま進むとネアンデルタール人みたいに、いつか日本人は裸で町をうろつくようになり、むしろ家に帰ると服を着る社会になるかもしれない。さらに男が女に化粧することが「プレイ」となり、男たちはみずから化粧した着衣姿の女性にエロスを感じる。そんな時代がやって来ないともかぎらない。