寸止めの笑い

 朝からたらたら夕方まで仕事をして、かなりストレスが溜まってきたので、昨夜録音していたカセットテープを、時代遅れのでかいテレコにいれて散歩に出かけた。
 「JーWAVE」中でもっとも「J-WAVE」らしくないアホアホ番組、土曜深夜の「GOLDEN TIME」(午前2時から4時放送)。DJはみうらじゅんと安斉肇。40歳をこえた大人が、なんの衒(てら)いもなく、アホなことを言いまくっている感じがいい。
 思わず笑ってしまったのが、名物コーナー「セクシー敬語」。これはいやらしくない言葉を、清楚な女性風の声でまじめに読んでもらって、あれこれ想像して楽しむという趣向。
「歯をぬいてまいりました」
「こんなに出てくるとは思いませんでした」
 日本庭園につき物の、竹でできた獅子おどしの「カーン」という音を合図に、そんな文章が淡々と読みあげられる。これは書き文字では伝えにくい、聴けばすぐわかるんだけど。
「これ以上、広げられません」
 という女性の声とともに、みうら氏の「いやぁ〜、これは来ましたよ。今、ムササビがバーンって飛ぶときの感じがしましたねぇ」という感嘆ぶりに、散歩しながら吹き出してしまった。くだらん、くだらなすぎて笑える。これは俳句にも通じる、空手風にいえば「寸止めの笑い」。余白をこそ笑うラジオって、今あんまりない。