『サタカフェ』第2回 筑紫みずえさん(in 田町「ヌースフィア」)

rosa412005-07-02

 ここでも何回かご紹介している筑紫みずえさん(株)グッドバンカー社長をゲストにお招きして、第2回目の『サタカフェ』を無事終えた。日本初のエコファンド、世界初のファミリーフレンドリーファンドの生みの親だ。
『サタカフェ』とは、トーク&ディナー&ゲストとの交流、という手作りイベント。第1回目は和田裕美さん(株)ペリエ社長だった。今回は参加者19人と、前回同様の動員ができて、参加者も外資系証券会社、国内金融機関、コンサルタント、IT関連ととても多彩で、問題意識と情報感度の高い人たちが集まってくれた。20、30代を中心に、40、50代も若干名という年齢構成だった。
 私がホスト役をつとめて、筑紫さんの軌跡をたどりながら、その都度、彼女がどう考え、どう行動してきたのかを一時間超うかがった。筑紫さんとは何度もお食事などをともにしながらお話をうかがってきたけれど、今回も新たな発見がたくさんあった。
 環境問題に積極的に取り組む企業などの株銘柄をあつめた「エコファンド」、出産や介護休暇を女性社員が取りやすい環境整備にとりくむ企業銘柄を集め、そこに投資を募る「ファミリー・フレンドリー・ファンド」。どちらも、男性の論理中心の金融業界からは「ただのきれいごとじゃ、ビジネスにならない」といわれても、けっしてひるむことなく、見事ビジネスとして実現している。
 今回のトークでは、その「きれいごと」をビジネスに仕立てる戦略や戦術とはどんなものか、というのが大きなポイントだったのだけれど、彼女の答えは予想以上にあっさりしたものだった。
「自分がやりたいと思ったことは、必ず口に出していろんな人にまず言ってみる。そしてそれぞれの人の反応を見るんです。その反応によって、まずその人自身が見えてくるし、世の中の空気みたいなものもつかめてくる。それに対して、どうやれば実現できるのかという方法が見えてきます」
 また、自分が実現したい夢に理解のない男性をうらむという気持ちが、彼女にはまったくないというのも驚きだった。そんなマイナス思考になる雑音には耳をかさず、あるいは馬耳東風を決め込み、ただただ前進する強さとエネルギー。
 結婚後、すぐに長男が生まれ、主婦業に専念した彼女が、はじめて社会人になるのは、31歳のとき。国内企業にさんざん断られた末に、在日支社のある仏のメーカーだった。そのとき息子さんに筑紫さんがいった言葉が実にふるっている。
「お母さんは今とても働きたいの。働くことってすごく楽しいのよ。だから、あなたも大きくなって働くことを、今からとても楽しみにしていなさい」
 一人の母親である前に、働きたい一人の人間であることを、まだ幼かった子どもにまっすぐに伝える。そこに子どもに済まないという意識はない。それは家庭で会社の愚痴のこぼす会社員より、はるかに子どもの働くことへの意欲をかきたてたにちがいない。
 彼女の言葉は、一般的なものの考え方や行動の仕方とまるで違うというわけではない。一般的なそれを野球のストライク・ゾーンにたとえれば、ボール1、2個分外側にある視点と着想とでもいうべきか。それほど違わないけれど、そのゾーンを少しもはみ出さない10年と、その枠にとらわれない10年の開きはとても大きなものになる。
 それが今回の『サタカフェ』で、ぼくがもっとも伝えたかったことだった。参加者もそういうニュアンスをしっかりと受け止めてくれたみたいで、歓談時には筑紫さんを中心に人の輪ができていたし、多くの参加者から「楽しかったです」「元気をもらいました」という声を聞くことができた。利発そうなかわいい女性も多くて、もうオジサンとしては、にんまりハッピー!ふふふふふっ。
「ヌースフィア」に初めて来たという人も多く、オーガニック料理も満喫してくれたみたいで、お店にとっても、今後いいお客さんになってくれれば、申し分ない。こういう場所があることの喜びを、ぼくも改めて噛みしめることができた。
 筑紫さん、本当にお疲れ様でした。ありがとうございました。
 さあ、8月6日(土)18時半開始の『サタカフェ』第3回は、篠原欣子さん(株)テンプスタッフ社長がゲスト。70歳をこえてなお愛くるしさと強さをもつ篠原さんの魅力に、できるだけ多くの人にふれて、感じて、考えてもらいたい。お申し込みは田町ヌースフィア03-5730-0881まで。前売り券6000円。
●右上写真 左腕に白いバッグを下げた、半袖のワンピース姿が筑紫さん。