『サタカフェ』第３回 ゲスト・篠原欣子（株）テンプスタッフ代表取締役社長 in 田町「ヌースフィア」
８月６日（土）トーク＆ディナー『サタカフェ』最終回
ゲスト 篠原欣子さん（株）テンプスタッフ代表取締役社長のご紹介
愛くるしくて、飾り気がなくて、強い人
２０代のころ、ぼくはカッコイイ大人になりたかった。でも実際に４１歳という年齢になると、何がカッコイイ大人なのか、よくわからない。せいぜい、１週間に２日ぐらいは楽しそうにしてる大人ならＯＫかなぁと、ずいぶんハードルが下がった。
そんな頃、今度は人として可愛げのある６０、７０歳になりたいとふいに思った。そう思って、あれこれと親戚やら知人の顔を思い返してみたが、どうもピタッとくる人が見つからない。その年代で、偉そうでもなく、疲れ果ててもいず、あるいはねじ曲がってもいない人が、実に少ないことにそのとき気がついた。
そう思うと、篠原さんの顔がふと浮かんだ。「明るい」とはいっても、押し付けがましさや、いやらしさは少しも感じさせない。７０歳にしてまさに「愛くるしい」という言葉がピタッとくる人。
だが若き日の彼女の軌跡は、とても激しいアップダウンをたどっている。２２歳で縁談破談、２６歳で寿退社、２７歳で家出・離婚、３２歳で海外留学、３８歳で帰国後、１９７３年に日本人初の人材派遣会社「テンプスタッフ」創業。２００３年、米の有名経済誌『フォーチュン』の、「世界最強の女性経営者５０人」の３９位に選ばれた。５０人中、日本人はわずか３人、その中で創業社長は篠原さんだけだった。
まだ１ドル３６０円の時代での元OLの海外留学、７３年の人材派遣会社の立ち上げでも、篠原さんはまさに時代のパイオニアだった。だが身長１５０センチ、体重４１キロのきゃしゃな体と、ホホホホホと高らかに笑う可憐さからは、新しい時代を切り拓いてこれた理由を見つけるのは難しい。
今でも社内のIDカード対応のドアの前で立ち往生するお茶目な面と、訊いてもいないのに、自分がつけているネックレスやイヤリングを「これ、ぜんぶニセモノよ（ブランドものじゃないという意味）」と言ってニコニコしている飾り気のなさ。唯一のリラックスタイムは、毎週土曜日の夜、テレビで『世界ふしぎ発見！』と『ブロードキャスター』をダラダラと観ながら、大好きなアンパンか今川焼きを二個食べるときだという庶民派でもある。
しかし、それだけでは年商１７１７億円、契約社員をふくめて従業員３０６１名（いずれも２００４年度）の大手派遣会社は統率できない。９８年、業務上、同社の命綱である派遣スタッフの個人名簿が大量に流出。運悪く個人情報流出事件のさきがけとなり、マスコミの報道が殺到、倒産の危機に立たされた。
だが、そのときに篠原さんが心配したのは、ひとつのことだけ。取引先への支払いを全部差し引いた残りの内部留保金で、社員全員に一年分の給料を、失業退職金代わりに支払えるかどうかだった。支払えることがわかると、後はなるようにしかならないと開き直った。その後、会社も危機を脱した。
「私はゼロから会社を始めたから、またゼロに戻ることって別に怖くないの。たとえば、ゼロになったら、明日から掃除のオバサンとしてだって働けるの。でも男性の経営者はダメよね。会社が倒産してプライドを失ったら、すぐには立ち直れない。男の人って弱いのよ」
微笑みをたやさずに、この言葉を口にした篠原さんの顔を、ぼくは今も鮮烈に覚えている。「サタカフェ」最終回は、この人しかいません。
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第３回「サタカフェ」 in 「ヌースフィア」
ゲスト 篠原欣子 （株）テンプスタッフ代表取締役社長
８月６日（土）
午後６時開場 午後６時半スタート
前売券６０００円（特別学割３５００円）
当日券６５００円
問い合せ先）田町「ヌースフィア」http://www.noosphere.co.jp
電話０３−５７３０−０８８１
●創業者 篠原欣子の元気が出る物語
芦崎治著『逃げない人を、人は助ける
〜テンプスタッフ成長の哲学』（中経出版）を、
お店レジ前にて販売中です。本購入者の方に限り、「サタカフェ」当日、篠原さんによるサイン会を行います。また、参加者と篠原さんがじかに交流していただける時間もあります。
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