陳麻婆豆腐の烏骨鳥の香り炒めの香ばしさと辛さ

 ひさしぶりに「陳麻婆豆腐」西新宿店に出かけた。今日も暑かったので、とびきり辛いものを食べて、新陳代謝を活発にして気合いを入れようというわけだ。
 毎回少しずつ注文を変えているのだけれど、ここは本当にハズレがない。豚耳の冷菜、本場四川のバンバンジー、四川風チャーハン、坦坦麺二人前、鳥骨鳥の香り炒めと、どれも美味しかった。
 しかし、この日の驚きは鳥骨鳥の香り炒め。大きめの赤唐辛子のざく切りが、鶏肉と一緒に炒められて出てくる。見た目には赤唐辛子の鶏肉添えかと思うほど、唐辛子の量が優勢なのだ。鶏肉とこの唐辛子を一緒に口に入れると、最初は香ばしさが口の中に広がり、実に美味しい。しかし噛んで呑み込んだ後に、口の中がカーッと熱くなる。いや、しびれてくる。か、か、辛〜い!中国四川省の人たちは恐るべしだ。
 鶏肉だけ食べなさいよ、と奥さんからはたしなめられるのだけれど、あの香ばしさが忘れられず、今度は唐辛子の種のない端などを選んで、鶏肉とともに噛む。うーん、辛さは確かに抑えられるのだけれど、香ばしさも半減する。まさにダブルバインド(二重拘束)の苦悩にぼくは苛まれた。
 隣のテーブルでは、麻婆豆腐をご飯も注文せずに、花山椒をめいっぱい振りかけながら、生ビール飲み飲み、しきりに咳き込みながら食べている男性。後方には、冷水を三度、四度とお代わりしながら、これまた麻婆豆腐に挑んでいる男性がいたと、後から奥さんに聞いた。両方食べたことのある人間として言わせてもらえば、鳥骨鳥の香り炒めの方が辛いです。辛いもの好きな方は一度お試しあれ。