「まい泉」本店の黒豚ロースカツ膳〜やわらかい肉と肉汁の旨味におぼれる

 スポーツの秋にふさわしい晴天の下、ジムに行くのも我慢して朝から黙々とキーボードをカチャカチャ鳴らし、夕方、奥さんと原宿で待ち合わせて、まい泉青山本店へ。狙いは前回初体験した黒豚ロースかつ膳2940円。奥さんは沖縄産の紅豚ロースカツ膳2340円を注文。それぞれ二切れずつ交換して食べくらべてみた。
 紅豚はたしかに柔らかい。だが肉の繊維がいくらか気になるし、黒豚とくらべて肉汁が少ない。一方の黒豚ロースかつは、口の中で肉汁があふれ出して、肉と肉汁に濃くのある旨味がある。だから塩だけをかつに振って食べても、じゅうぶんにうまい。
 これを二切れも食べたら、今度は黒豚膳専用で出てくるリンゴ一個すり下ろしの特製ソースをかけていただく。ソースの濃くと、リンゴの酸味と甘みが渾然一体となったソースが、新たな食感をもたらしてくれる。ああ、口福(こうふく)!これは自宅でも試してみる価値がある。トンカツ・ソースにリンゴ一個をすり下ろせば、はたしてこの味になるかどうかは知らんけどね。
 今日は週末の夜7時頃で店内が込み合っていて、1階一番奥のホールみたいなところへ通された。これが白の漆喰天井に、格子状に20㎝幅の木を配した、昔の銭湯の脱衣場みたいな感じの作りで、家族連れや老若男女のカップルが渾然一体となって、それぞれのカツに舌鼓を打っていた。そのブランド名におごることなく、この庶民的雰囲気を大切にしている点も気に入った。上の黄緑色の「まい泉」のHPをみると、昭和40年に一人の主婦が始めた店なんだってね。その精神を見失っていない点もいい。
 若い店員の目配りも細かく、お茶やご飯のお代わりなどを適宜フォローしていて好感がもてる。内外装にはお金をかけても、アルバイト店員の教育にはお金をかけない店が多いから、オジサンは「まい泉」のサービス業のあり方の方が断然好きだな。
 たしかに一品約3000円のとんかつは高い。しかし夫婦二人で外食すれば、5000、6000円は使ってしまうことを考えれば、合計金額としてはけっして高くない。一品のもたらしてくれる高い満足度を考えれば、無駄遣いじゃない。