茂木健一郎『脳と仮想』(新潮社)〜心を傷つけられることと創造の因果関係

脳と仮想 
 電車で本を読んでいて、ひさびさにグッときた。グッときたから、あわてて黄色のポストイットを、ぼくはカバンから取り出した。まだ半分ぐらいだけど、そのエッセンスを抜粋引用してみたい。
「一見逆説的なことに、すぐれた芸術作品には、どこか、人の心を傷つけるところがある。人は、芸術作品に接することで、積極的に傷つけられることを望むとさえ言えるのである」
「ある体験から心に傷を受ける、ということを別の言葉で言い換えれば、その体験によって生じた脳の中の神経細胞の活動によって、脳が大規模な再編成を余儀なくされるということである。身体は、傷を受けると、細胞が分裂して傷を受けた部位の組織を再編成しようとする」
「強烈な印象を残す体験を受けての再編成は、意識のコントロールできるプロセスとして起こるわけではない。だからこそ、その再編成の結果生じたものに、自分でも驚かされることがある。そのような再編成の結果新しいものが生み出されるプロセスを、人は創造と呼ぶ」
「脳は、傷つられることがなければ、創造することもできないのである」
 ・・・この本で第4回小林秀雄賞を受賞した、脳科学者、茂木さんの新しさのエッセンスを胆嚢、いや堪能していただけましたか。この本については、読み終えたらまた書きます。