イサム・ノグチ展(2)〜円く削ることでより強固に結びつける

 いろんなところで、書かれていることだが、ノグチはこの黒花崗岩に「大地」もしくは「地球」という惑星をダブらせている。石のもつ厚みは地層に似ていて、膨大な時間に培われたものだから。しかもこの石は、通常灰色で表面は凸凹があるが、磨けばじつに味わいのある黒になる。
 昨日書いた黒花崗岩の作品コーナーで、もっともぼくが心惹かれたのが「この場所」というタイトルの作品。七つのバラバラな石が、あるいは一つの石を七つに割ったものが、ジグソーパズルのように、きれいな正方形にまとめられている。
 この作品が面白いのは、まるで亀の甲羅のように隆起したその正方形の上部が、楕円型に切り取られてへこんでいる点だ。文字にしてしまうと、どこが面白いかまるで分からないだろう。これは実際に見てもらうしかないのだけれど、その楕円形で切り取られたおかげで、なぜか、その七つの石片がより強固に結び合わされているように見える。
 おそらく、鋭角な線と楕円が重なることでそう見えてしまう目の錯覚だろう。円はいろいろなものを包み込んだり統合する力を持つ描線だから。
 削ることでより強固につなぐ―そのコンセプトがカッコイイ。そういうことが文章でできるのか、と思わず考えてしまう。バラバラなものに一貫性を見つけることはできる。だが、それを円く削り取ることで、より強固に結びつける。大きな宿題をもらった。