菊地成吼『セレクション ロックとフォークのない20世紀』〜2006年のぼくの音楽ナビゲーター

200CD 菊地成孔セレクション―ロックとフォークのない20世紀 (学研200音楽書シリーズ)
 原宿の歯医者の帰り、青山ブックセンター本店で、サキソフォン奏者、菊地成孔の新刊本を見つけた。ロックとフォーク以外のオールジャンルのCD200枚推薦本。来年はもっときちんと系統立てて音楽を聴きたいと思っていたので、心強いナビゲーターを見つけた気分だ。彼が東京FMで深夜やっているDJの選曲って、メチャクチャかっこいいから。
 で、それをパラパラめくっていて、彼の面白いコメントが目に付いた。ヒップホップのプロモについて、こう話す。ええ、文章的にはぜんぜん脈絡がない展開です。

僕から見ると不感症にも見えるんだけど、ソフトポルノ紛いのエロでもエロじゃなくて、それがむしろ普通っていう、そこでフェミニズムみたいなものを押し出すつもりのエロ、みたいなことになっちゃっているじゃないですか。エロだけど甘くない、エロだけど勇ましいわけよ。ブラックじゃないけど、ブリトニー・スピアーズとか、もうエロDVDじゃないですか(笑)。でも勇ましいイメージでしょ」

「エロが自分のためにあるみたいな。だけどレズビアンでもない。エロがもう、キャリアとか、強みみたいな感じになってて、基礎装備がもうエロいってところまで行っちゃってるよね」

 もはや男に媚びるためのエロではさらさらなくて、「(女たちによる)自分のためのエロ、キャリアか、もしくは自分の強みみたいなエロ」という視点は、今の空気にしっかり突き刺さってると思う。