批判を許さない空気

 誰も彼もが「カズさん、すごい」を連呼する空気に、ぼくも、嫌〜な感じをもっていた。開催中のトヨタカップの、オセアニア代表チームにレンタル選手として参加している三浦和良選手をとりまく空気のこと。断っておくが、三浦選手個人ではなく、彼をとりまく空気のことだ。 
 宇都宮徹壱さんが、「カズが暴いた『地球一』という矛盾」という文章で、ふれている。しかも、その空気を実感しながら、じつに慎重な言い回しでだ。

しかし、あえて言わせていただく。およそ「地球的」とはいえないプレーヤーが、それでも興行的には不可欠な存在として、世界クラブ一を決する大会に君臨しているという矛盾――それこそが、今大会のあり様を鮮明に象徴しているように、私には思えてならないのである。
 どうか、ご理解いただきたい。私だって、自分のヒーローをおとしめるようなことなど、本当は書きたくないのだ……。

 先の衆議院選挙での小泉圧勝といい、なんか「オール・オア・ナッシング(全肯定か全否定)」の空気が近頃すごく濃くなっている気がする。それが情報の受け手である、有権者や視聴者の思考停止に支えられている感じも、すごく気味が悪い。
 いや、さすが「大東亜共栄圏」へ猛進した歴史をもつ国だというべきか。