全国高校サッカー、野洲高校優勝!〜観てて面白いサッカー

 ロナウジーニョの人気が高いのは、彼のプレイが観てて楽しくて、思わずワクワクするからだ。華麗なパスとドリブル、そして思い切ったサイドチェンジを駆使する野洲(やす)高校のサッカーにも、同じことが言える。
 鹿児島実のとにかくクロスボールをゴール前に上げて、誰かが押し込んで得点するサッカーが高校でも主流らしい。下手なドリブルや細かいパス交換をするより、リスクが少なくて、効率的だからだという。身体を張って守り、身体をぶつけてボールを奪う。
 だが、そんなサッカーは、誰よりもまず本人が楽しそうなロナウジーニョのプレイとは対極にある。それはとにかく儲けたヤツが「勝ち組」で偉いんだ、という風潮ともなんだか似ているような気がして、ぼくはあまり好きにはなれない。 
 一方の野洲のサッカーは、個人がきちんとリスクをとり、責任を負わなくては、ただの個人プレイで終わってしまう。だから全員がそれを徹底して勝たないとといけない。
 準決勝では、くるっと半回転して巧みに相手のチェックをかわし、ときに細かいパス交換、ときに両サイドのディフェンダーの裏にボールを蹴りこむ野洲サッカーは、観てて面白かった。さすがに鹿児島実業戦では、なかなか縦横無尽とまではいかなかったけれど。
 観てて楽しいサッカーを見せてくれた野洲イレブンには、心からありがとうと言いたい。