『ダークサイドからの逃走』〜全体像なき世の中と向き合うこと(4)

 最後に、同展覧会パンフレットより抜粋します。

「この世の悪はない。悪はすべてわれわれの心の中にあって、これを滅ぼすことは可能である」―トルストイ


 私たちは常に平和を求めながら、一方では異なるものとの共存には寛容になれない困難さをもかかえています。経済効率だけが声高に語られる価値観は人々の心も蝕み、ものごとを単純化、一元化する傾向を強めます。しかし人間は同じでありながら、異なる考え、異なる生活様式のもとに多様な生き方をしてきました。本展は、戦争や憎しみの連鎖がおさまらない混沌とした状況の中では、ますます狭い視野に縛られ、悪におちいりがちな人間が、ダークサイドからいかに距離をおき、人間の尊厳や良心に対して自覚的になれるのかをテ―マとしています。本展では、国際的に活躍する4人の報道写真家のドキュメント写真と9人のアーティストによる映像、彫刻、写真に詩や文章を組み合わせ、多様な現実を見つめながら他者への共感を促す展示を試みます。