日経ビジネス「商品の寿命は3週間」―誰も幸福にならない多産多死時代

 千葉方面への書店回りの道すがら、先週号の日経ビジネスを読んでいて身につまされた。だって、2005年に販売されたチョコレートの新製品って何種類だと思いますか?正解は1928種類。ちなみに2000年は1314種類。当然、増加傾向だ。
 ちなみに缶コーヒーは05年の新製品213種類(5年前の新製品は83種類)。スナック菓子は05年は765種類(5年前は521種類)。大手コンビニチェーンの仕入れ担当者の話だと、「今年3、4月の2ヶ月間で約200種類の清涼飲料水の新製品を発売したが、夏を越せる商品は1割もないはず」という。チョコレートやスナック菓子だって、さして違わないだろう。お、お、恐ろしき多産多死時代だ。まだ10冊中増刷3冊の出版業界の方が恵まれているなぁ。
 その特集記事の向こうには、連日のサ―ビス残業に苦しむ友人たちがいる。それなのに、早いサイクルで新製品が出るたびに、人気をつかめないものや型番落ちの旧製品は値段が急落。利幅はいっそう薄くなる。そう、多産多死時代は誰も幸福にしない。でも新製品の投入は止められない。完全な不幸のスパイラルだ。
 そんな恐ろしい特集記事を読みながら、あるかないかわからない拙著を求めて、千葉駅をめざす私の心理状態はかなりどんぶらこどんぶらこと揺れていたわけです。そうして1時間かけてたどり着いたJR千葉駅前の書店の貧弱なこと!横浜や川崎での拙著平積み状態など、夢幻みたいに私から遠のいていったわけでした。拙著だって一ヶ月もたたずに、跡形もなく消えていくのですから。