巨人対ヤクルト観戦(神宮球場)〜昭和は遠くになりにけり

rosa412006-07-15

 いきなり1回裏、ヤクルトが大量7点。しかも夕方の曇天の空からは雨粒が落ちてきた。最悪だな、こりゃ。きっと誰でもそう思うだろう。
 巨人軍ファンである義母をお連れして、夫婦で野球観戦に出かけた。巨人が9連敗中で、前日のテレビで見ると、観客席は空席が目立っていたから。その夜、近所のコンビニでわりと簡単に3塁側内野席3枚を入手できた。義母ははじめてのプロ野球観戦。その始まりが、冒頭の10連敗を予感させる惨澹たるものだった。
 だが終わってみれば11対9の乱打戦で、巨人が久々の勝利。しかも高橋由、李が連続ホームランという劇的な勝ち方。義母もすっかりご満悦だった。
 個人的に興味深かったのは、ソフトとしての野球のまったり感。弁当食いつつ、ビール飲みつつ、適度に休み、席を外しつつ、試合時間の2、3時間の自由にゲームに出入りできること。見知らぬ同士でも、まとまってお気に入りチ―ムの応援で盛り上がれること。地味な若いカップル、ビールの飲みすぎで試合の大半の居眠りして棒に振る中年親父二人連れ(おまけに前列のギャル二人の背中にビールこぼしたりして)、子どもが泣き止まずに仕方なく席を立った親子づれと、種々雑多な人たちに、それぞれのペースでスリルと興奮を与えられる。
 その手軽さや身近さ加減が、ここまで野球が日本市場に普及した理由かもしれない。けれど、巨人のラインナップを見ると、3番の高橋は生え抜きながら、4番の李は前ロッテ、5番のアリアスは元阪神という節操の無さ。これじゃ巨人軍とは名ばかりと思われ、ファンからそっぽ向かれても仕方ない。それが資金力にまかせて他チームから選手をかき集めてきた結末だとすれば、巨人式のコスト効率主義は、ちかごろの日本のカブシキガイシャのそれともダブって見える。
 かつてベテラン選手たちとともに戦い、10連覇を逃して、選手生活を引退した長嶋のあの日の涙から、ずいぶんと遠くまで来てしまった。そんな長嶋に、ブラウン管の前で涙と鼻水を流しながら呼応した昭和の12歳も、もうすぐ43歳になる。