シンプルな着眼点の方が面白い〜NHK「21歳”家族”の軌跡」(18日分)

 普通の人や少数派から見た方が、世の中のかたちはよく見える。
 7歳から7年おきという定点観測で若者たちの軌跡を追い、彼らを通して日本社会の変遷を見つめる。そんなNHKの番組を観て、改めてそう痛感させられた。今回は「21歳」編。
 が、7歳ではいずれも無垢な笑顔だった少年少女は、21歳になった今、じゅうぶんにそれぞれの人生と世の中の移ろいを色濃くにじませていた。不登校や結婚、一人暮らし、親の他界、就職試験の合格など、それぞれ分岐点をへていたからだ。そこには、家族全員が帰国して一人残った中国残留孤児三世もいれば、父親の廃業や他界に遭遇した人もいた。耕作する稲田は二倍に増えたのに、収入は半減した父親を手伝いながらも、農家を継ぐ決心がつかない農家の長男とか。
 今回登場した若者にかぎって見れば、やはり男の子は生命力や社会力が、女の子のそれにくらべて弱々しい。女の子は14歳頃から目的意識が明確で、21歳の今も結婚、憧れの会社や仕事への就職としっかり前進している。やっぱりね、という気はする。
 自分が自分らしくいられる場所を見つけられる能力。そして自分はこれをやりたいというキッパリとした、より具体的な目的意識。それらの有無は、21歳たちの顔つきや物腰にくっきりと明暗をつけていた。もちろん、まだまだ逆転はきくから、みんなひと踏ん張りしてほしい。一方、それらの有無が明暗を分けるのは40代も60代も皆同じことだから、ソファに寝転んでのんびり観ていたぼくも、思わず背筋が伸びた。