高円寺阿波踊り

rosa412006-08-29

 27日の昼間、近くの公園に行くと、雷雨みたいな激しさで蝉の鳴き声が響き渡っていた。なんか夏なのか梅雨なのか、あるいは猛暑なのか冷夏なのか、じつに曖昧をきわめた八月への怨みつらみを、蝉は蝉なりのやり方でぶちまけている。そう思わせる、少し恐いほどの激しさだった。
 その夕方、三年ぶりで高円寺の阿波踊りに夫婦で出かけた。祭りを知らせる提灯や、金魚すくいに興じる子どもたちを見つけると、いくつになっても心はうきたつ。焼き鳥を食べつつ、やる気なさげに踊る子どもたちに苦笑し、めっぽう上手い男の踊り手たちに感心する。何事にせよ、額に汗しつつ懸命に何かに集中している光景を見るのは悪くない。日本人はもっと日常の中に、自力でたくさんのお祭りを手作りしたほうがいい。お祭りは見物するものではなく、やはり同じアホなら踊らにゃ損々と、自分で踊って楽しむものだ。
 阿波踊りからの帰り道、近くの遊歩道を歩いていると、今度は鈴虫の大合唱に出くわした。昼どきの嵐みたいな蝉時雨と、夜の闇に染み渡るような鈴虫の鳴き声が、綱引きの要領で、この中途半端な夏を互いに引っ張り合っているような気がした。
ゆく夏と 秋が引き合う 阿波踊り
腹見せて 見えぬ雲追う 葉月蝉